#6431 伊藤 | プロパンガス

プロパンガス

いっしょうけんめい働いた人が
せめてビールぐらいは安心して
本物を飲める世の中をつくろう

伊藤大貴さんは、2024年もすごい。

 

心から尊敬、憧憬。

 

畢竟、必死さの総量なんだろう、足りないものは。

 

この秀逸な文章の中には、ウクライナもガザも台湾海峡も、気候変動もインフレも米国社会の分断も、少子化も社会保障費も新NISAも、AIもメタバースもブロックチェーンも、そういった文言は一切出てこない。

 

なぜなら、それらは当然の所与の条件として、伊藤さんが受け入れ、思考の前提としているからに他ならない。

 

ChatGPTの活用が云々などと嘯いている人たちには、大いに赤面してもらいたい。

 

伊藤さんにしてみれば、何を今さら大きな声で、というところだろう。

 

唯一、”コロナ”が、時代区分を表す語として登場するに過ぎない。

 

通常、否定的な意味でしか用いられることのない ”新しい資本主義” にいたっては、「運以外、何者でもない」扱いされるのだから、もはや恐れ入ったとしか言いようがない。

 

というか。

 

ぼくらはすでに、「畢竟、」ではじまるタイトルに圧倒されている。

 

つまりこの文章は、『坊っちゃん』も『舞姫』も、『ハムレット』も『白鯨』も、最低限の教養としてみんな読んでるよね? そうでない人にはうまく伝わらないかも、というレベルの読者層を想定している。

 

この突き抜けるまでに痛快な文章を書かせているものは、伊藤さんのこれまでの必死さの総量そのものであり、ただ単なる才能と呼ぶにはあまりにも重厚な、彼の活力の積み重ねには最大限の敬意を払いたい。

 

嫉妬でないとするなら、羨望の的でしかない。