おじさんを消したのはお前だ | 風間観察日記 2

風間観察日記 2

精神安定剤日記

いじめってどこからがいじめなんだろう

 

 

半年ほど前に57歳のおじさんが新人としてバイト先にきた

 

 

今までこれだけ歳の離れた人と働いたことがなかったから好奇心がすごかった

 

どんな人で

どんな人生を生きてきて

どんな話が聞けるのかワクワクしていた

 

 

 

でも

 

結局おじさんは

職場から消えた


おじさんのことは

何一つわからないまま消えた


 

 

消えたというと語弊があるのかもしれない

 

消えたのか

消したのか

 

 

57歳のおじさんは本当に仕事が出来なかった

 

 

うちのバイトは中学生でもできる簡単なお仕事なんだけど

人の命に関わる仕事でもあるから

たくさん注意した

 

人生についての話なんて聞く余裕がなかった

 

 

親父みたいに歳の離れてる人を注意しなければいけないというのは

とてもストレスのかかることだった

 

 

 

ある日、何度同じことを言っても出来ないおじさんに言ってしまった

 

「どうしたら覚えられるんですか」

 

 

単純に怒りと

そして

初めて好奇心で聞いた言葉だった

 

ここまで仕事の出来ない人に会ったことがなかったから

どうしたら覚えてくれるのか

本当にわからなかった

 

 

その言葉を聞いたおじさんは言った

 

「風間さん、殴ってください」

 

 

この人は本当に何を言ってるんだろう

殴ってやろうかと一瞬思った

 

 

 

 

そして先日、

 

おじさんが仕事中に壊れた

 

 

熱中症ということらしかったのだけれど

次の日、心療内科に行ったらしい。

 

うつ病になったので仕事を休むと。

 

 

 

 

少しの罪悪感と

一緒に働かなくていい安堵感の狭間で考えたのは

 

うつ病で休職申請した人は

どうしたら戻ってこれるのかということだった

 

 

「うつが治ったから働きます」

って戻ってきたとしたら

どんな顔で接すればいいんだろう

 

そもそもそんな風に戻ってこれる人は

うつ病にならないメンタルを持っていそうな気がした

 

 

 

おじさんと一緒に働くのは本当に嫌だった

 

俺はきっと加害者なのだろう

 

いじめてる側に

いじめてる実感なんてきっとないんだろうな

 

 

 

でもやっぱりほっととしている自分がいるんだ。