祇園は、私のような庶民には馴染みのない街だ。
その祇園で舞妓としてデビューし、1966年から6年間売上ナンバーワンの舞妓だった著者の自叙伝だ。

著者は岩崎峰子、1949年、京都府生まれ。
4歳ので祇園甲部の芸妓置き屋・岩崎に入り、1960年、同家の養女になる。
15歳で舞妓としてデビュー。20歳で芸妓、大手酒造メーカー等のCMでも活躍し、29歳で芸妓を引退する。
日本画家との結婚を機に絵の修復作業に携わりながら、何冊か本を出版している。
現役時代は祇園を代表する芸妓として各界のVIPにかわいがられる。
近年祇園文化を世界紹介する仕事にも取り組んでいる。
そんな著者が積んだ祇園での教養・芸の研鑽・様々な人々どの親交を赤裸々に記している。

私が想像していた祇園のお座敷とは、芸妓をあげてドンチャン騒ぎ・・・と思っていたのだが、そうじゃないようだ。各界の著名人が、心からくつろぎ、人と人とが語り合える場所、それがお座敷のようだ。

引退直前まで第一線で活躍した彼女の人生は、普段は絶対に覗くことのできない祇園の深部を支える人々の暮らしを紹介してくれる。
実に興味深く面白い。
女の人生として、こんな生き方も存在するのだ。
見知らぬ世界を教えてくれた1冊。

<集英社 2004年>

著者: 岩崎 峰子
タイトル: 祇園の課外授業