昨今は〝バツイチ〟の男女が増えており、何も特別なことだと感じなくなった。
そんな〝バツイチ〟同士の再婚をテーマにした夫婦の日常と葛藤を面白おかしく描いた小説が本書だ。

主人公・葉山佐都子は39歳。再婚6年目だ。
夫・草一郎は6つ年上の会社員で、二人とも再婚同士。
子供はなく、平穏で満ち足りた夫婦生活を送っていた。
佐都子は家事の合間に日記をつけている。毎日の献立や夫との会話など他愛ないことを書き留めるのが午前中の日課になっていた。
そんな中、夫の友人・吉浦に佐都子が女友達を紹介するはめになったことから、夫婦の関係も微妙に揺らいでゆき、日記に書くことも穏やかではなくなっていく。
夫の友人吉浦、夫の後輩・賀川、小料理屋の女将・華江たちとの波乱に満ちた日常と、結婚7年目の〝花婚式〟までの日々がユーモアたっぷりに綴られている。

日常に起きる小さな事件を描き、泥沼は避けた描写で読み終わった後に不快感は一切残らない爽やかな1冊。

<角川文庫 2003年>

著者: 藤堂 志津子
タイトル: 花婚式