野中柊独特の料理にまつわるエピソードやアメリカナイズされた語彙がふんだんに使われた10代の女の子の物語。

通訳として働く母、主夫の父を持つハナコは帰国子女。
アメリカから帰国して幼なじみの太郎と同じスクールへ通い青春を謳歌している。クラスメートから借りたフランスのポルノ小説「ダリア」を日々愛読している。
そして、自分もその小説の主人公ほどではないが、愛やセックスを感じて生きている。
家族の愛、幼馴染から恋人への変化で生まれる愛、色々な愛を知りハナコがオトナになっていく過程を描いている。

巻末の展開は理解に苦しむし読んでいて楽しい表現ではなかったが、21世紀の東京の女子高生たちはもっとハードな日々を過ごしているんだろうから、コレくらいで驚いてはいけないのかもしれない。

ちょっと変わった小説を読みたいと思う人ならば、一度手にしてみてはどうだろうか。
恋愛小説でもない、青春小説でもない、官能小説でもない、家族小説でもない、不思議な1冊。

<理論社 2000年>

著者: 野中 柊
タイトル: ダリア