乙女派文筆家として独自の感覚を活かした物語を数多く発表している著者。
著者の云う乙女とは「ゴスロリ」というジャンルの少女に象徴されるらしい。
昨年では『下妻物語』が代表的であるが、、パンクロックの歌姫ミシンと、彼女に恋をした鈍くさいロリータ少女傘子の物語『ミシン』がデビュー作だったのだ。

そして本書はその『ミシン』の続編である。
MILKの洋服が似合う超人気バンドのカリスマ・女性ヴォーカリスト「ミシン」に恋する少女が死に向かうストーリーで本当に独特な雰囲気のあった『ミシン』。
その雰囲気をそのままに続いている物語。
「ミシン」がなぜこんなに尖った人間なのか、なぜこんな役回りなのかはこの続編を読むことで理解できる。

前作のラストで撲殺してほしいと「ミシン」に頼まれた傘子。
でも、殺しきれなかった。
冒頭はその時のことを語るシーン。
「ミシン」は死んだ兄の幻影囚われたまま生き続ける。
肉体的には生き延びたが、精神的には1度死んだ「ミシン」。
「ミシン」の再生と傘子の自立が軸となっている。

スピード感やノリは本当にライブを見ているようで、そういったバンドを好む人にはウケるのではないかと思う。
パンク小説というのがあるのかはわからないが、そういったジャンルの小説である。
私はどれも興味が無いのに読んでみたが、新しい世界を垣間見たような新鮮な気持ちになった。
今の若い子たちはこういったものを好むのか。
凄まじい。

<小学館 2004年>

著者: 嶽本 野ばら
タイトル: ミシン2 カサコ

著者: 嶽本 野ばら
タイトル: ミシン