32歳のツイてない恋愛をしている独身OL3人がなんとか玉の輿に乗ろうと同盟を組み、作戦を練り試行錯誤する姿を描く恋愛小説。

主人公はある商社に勤める32歳のOL3人。
真里は営業でトップクラスの成績を収めるちゃきちゃき娘。容姿はいいが頼りない泣き虫な同僚と交際し、今後を案じている。もっと良い男をと思い同盟を組むことを提案する。
佳南子は秘書課に勤める美人で、安普請なアパートで暮らし冴えない男と付き合い続けている。本当は容姿端麗・高収入・高学歴といった男を求めているので同盟に参加する。
明日香は経理部所属で年下のケチな男と付き合っていたが酷いふられ方をし泣き崩れる。このことがきっかけで「玉の輿同盟」を組むことになる。
三者三様の恋愛模様や心の葛藤が描かれる。

正直なところ現実味は全くなく、まるで漫画のような小説である。
いまどきの32歳で「玉の輿♪」と目くじらを立てて男を探す女性など少ないだろう。
心の奥底では思っていても、それを丸出しにして友人と競うように男を紹介され、紹介しあい、その報告を逐一行うなど有り得ない。
その辺りを踏まえて読めば、読み切れる作品だ。
恋愛だけに没頭したくても、仕事等でなかなかそうはいかないもの。
その辺りをもう少し深く書いてくれていたら、印象が違っただろうと思う。

独身女性よりも結婚し、OL生活から遠のき暇を持て余しているような方に向いている1冊かもしれない。

<角川書店 2003年>

著者: 宇佐美 游
タイトル: 玉の輿同盟