landmark 埼玉県大宮を舞台に、駅前開発地区に建設中の高層ビルに関わる男たちの物語。
東京に近いけれど、東京じゃない大宮で、男たちは何を想い何を感じ日々を過ごしているのかを描く長編。

関東平野の真ん中、開発途上のさいたま市大宮の地に新しく高層ビルを建設している。
その高層ビル~地上35階建ての巨大スパイラルビル~に関わる設計士・犬飼。
妻を東京に残し、週の大半を大宮のビジネスホテルで過ごす。
事務所のバイトの女と不倫をしながら、仕事と妻と自分のバランスを取っている。
うまくいっていると踏んでいた自分の生活が少しずつ揺れはじめる。

建設現場で鉄筋工として働く隼人。
九州から突然ふらりと上京し、大宮で働くようになった。
建設会社の社員寮で暮らしている。
同僚は東北出身者が大半で、隼人はいつのまにか東北訛りを身に付けてしまった。
現場と寮の往復の日々に嫌気がさし、何か刺激が欲しいと思っている。

犬飼と隼人の二人の視点で綴られている物語で、二人は直接会話はしないものの、微妙な距離感ですれ違っている。
同僚や恋人など周りの人間との会話などが淡々と描かれていく。
二人の生活が交差する建設現場で、ビルの建設と同じく上へ上へと積み重ねられる何か。
大宮で二人は何を得、何を失い、何を見つけるのか。
あまりにもすんなりと読めてしまい、読み終えた後に余韻や感動などは一切なかった。
頭を使わず読書をしたい、小説を読みたいという方にはおすすめの1冊。



講談社 2004年


著者: 吉田 修一
タイトル: ランドマーク