aigariyu 親友の死の真相を追う主人公が出会った少女と見間違えるほどの美貌の少年。
彼は親友の死に関係あるのだろうか?
様々な謎が深く渦巻くミステリー。


主人公・麻子は39歳。
独身で経済書を得意とした翻訳家である。
近所に住む高校の同級生で親友の美佐子が自殺したところから物語りは始まる。
携帯を握りしめて笑顔で死んでいったというのだ。
どう考えても、美佐子が自ら命を絶つとは考えられない麻子と同級生たちは、美佐子の夫・伸彦を疑いはじめる。
麻子は同級生たちにけしかけられ、美佐子の死の謎を解き明かすべく行動しはじめる。
伸彦だけでなく、伸彦の甥・進矢も怪しいと思い始めた時、進矢の友人・泉が麻子の前に現れる。
美少女のような容姿の泉は、まぎれもない男性だった。
高校生の泉と話すうちに、美佐子の死はやはり伸彦や進矢が関わっているのではという思いが強くなるが、謎は深まるばかりだった。
「心中ゲーム」など気になるキーワードはあるものの、美佐子の死の真相は近づいては遠のく。
元恋人で探偵の一晃も絡み、麻子は困惑していく。
一晃は泉を胡散臭いといい、進矢は嘘つきだと言う。
美しい少年・泉は美佐子とどんな関係だったのか。
それを知った時、謎は全て解き明かされる。


誰が真の犯人なのか、かなり終わりの方までわからない。
麻子の前に現れる人物が全員怪しいように思える瞬間もあるし、途中は麻子が犯人なのかと戸惑ったりもした。
読み終えて達成感や満足感は薄いが、面白かった。
女同士の友情の深さ、少年と大人の女の恋愛、思い込み、浮気など現代によくあるニュースのいいとこ取りといった感じのサスペンスで女性向きなのは装丁を見てもわかるとおりである。
題名がどうして『愛が理由』なのかは、最後にわかる。


<角川春樹事務所 2005年>


著者: 矢口 敦子
タイトル: 愛が理由