tanpopo 第2回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞した著者の、サラリーマンファンタジー短編集。
不思議な物語が8つ収録されている。


『夏期休暇 帰省ラッシュ』の主人公・いさおは夏休みをお盆からずらして取り、家族で故郷の鹿児島に帰省した。
読みが甘く行きも帰りも飛行機を取ることが出来ず、乗車率100%を越える電車に揺られての帰省となってしまった。
妻も子供も体調を壊すは、苛立っていさおに当たるは最悪の帰省となってしまった。
帰りも満員の夜行に乗ってぐったりしていると、車掌が「熊本駅で乗り換えれば東京まで指定で座れる臨時列車に乗れますよ」と言うのだ。
いさお達は喜んで乗り換えることにした。
ところがそれは、JR霊界の寝台特急・黄泉82号だったのだ。
あの世の特急だと言う。
気付いた時にはもう遅く、それに揺られて新宿まで戻ることにした。
寝台列車でホッとするのも束の間、ベッドは棺桶だし外の景色はこの世のものではないし、戸惑いは隠せなかった。
途中、お腹が空き停車したホームの売店で買い物をしていると黄泉82号は発車してしまう。
いさお達は鈍行に乗ったり普通列車に乗ったりしながら東京を目指すが、空いているはずのあの世の交通事情もこのシーズンは別だったのだ。


まさかファンタジー作家だとは知らず。
1ページ斜め読みをして図書館で借りたのだが、読んでみたらファンタジーだったので焦った。
普段自分が全く触れない世界で、物語のオチが予測もつかないところへ行くので新鮮だった。
たまには自分が興味を抱いていないジャンルもたまにはいいかもしれない。


<新潮社 1993年>


著者: 岡崎 弘明
タイトル: たんぽぽ旦那