nazeketukon 晩婚、未婚は昨今話題になりまくっている。
どうして結婚しないのか、どうして結婚できないのか、理由は明確なのか。
どんな新聞記事を見ても、テレビでの特集などを見てもよくわからなかった。
私自身は既婚だが、周囲は殆ど未婚である。
その疑問を、少し緩和してくれるルポタージュである。


未婚の親同士が集い、子供の写真を持参して見合いをするというのが話題になったことがあった。
未婚のまま年を重ねる子供を見かねて、親が集うのである。
集う親たちは焦っている。
様々な職種、年齢、経歴の子供を持つ親が集い会話をし、お互いの子供を紹介しあう。
話がまとまれば面会~見合い~の約束をする。
不思議な集いである。
親に世話をされて結婚するというのは昔からあることではあるが、それは見合い写真を持ってくるとか知人の息子さんを紹介されたとか、そういった話ではなかっただろうか?
今は違うのだ。
全く見ず知らずの親たちと会い、約束を取り付けるのである。
そこまでしないと結婚に至らないのだろうか?
その背景、どうしてその集いを開くことになったのかなど、主催者と参加者のインタビューは赤裸々だった。
そして、とても重いものだった。


また、地方に住む女性の未婚率が高いこと、高学歴の女性は結婚から遠のきがちであること、男女の結婚に対する意識があまりに違うことなども興味深かった。
男女の意識に相違があることは、自分の友達から話を聞いてもわかっていたが、ここまで違うとそれは噛み合わないなぁと思わずにいられなかった。
本書に書いてあることが全てではないし、100%信じられるとは言い切れないだろうが、周りに当てはまることが多過ぎるのだ。


結婚が全てではない。
結婚しなくても幸せは味わえるし、楽しい人生を送ることもできるはずなのだ。
しかし、一般論は違う。
なぜか結婚に拘り、結婚しなければダメだというような空気があるのだ。
そして、その一般論に振り回され困惑する未婚者が多いのも事実で、焦り迷い悩むのだ。
特に30代、40代は結婚を意識せずには居られないだろう。

負け犬や結婚難民などと言う言葉が新聞記事などで踊っているのを見る。
過剰だとも思うが、少子化が進んでいたりと現実問題、未婚者の増大というのは日本の将来に大きく影響するようで、その背景についても書かれている。
どうして結婚しない社会になっていったのか等にも触れており、わかりやすい。
読んだから何かが大きく解決し、動くということではない。
でも、未婚と現代社会の流れが大きく関係しているんだということがわかり納得できたのは大きな収穫だった。
面白く興味深く読むことが出来た。
未婚の子供を持つ親、結婚したいと思っていたり焦っていたりするのに本気で向き合えない人におすすめの1冊。

<すばる舎 2005年>


菊地 正憲
なぜ結婚できないのか 非婚・晩婚時代の家族論