korekarahaarukunoda 著者の身辺で起こった様々なことやその時の気持ちを綴ったエッセイ。


普段からあまりエッセイを読むタイプではない私だが、図書館で目に入ったので借りてみた。
昨今の角田光代ブームで図書館の「か」の棚に角田光代があることは少ない。
図書館であっさり借りることが出来るならば、エッセイでも読んでみようと思ったのだ。


『人を喜ばせるプロフェッショナル』は著者の幼少時代の経験を綴ったエッセイだ。
母親の妹と同居していた時の出来事である。
その叔母は幼い著者がいつも「かっこいい」と思う存在だった。
クリスマスのプレゼントの渡し方も普通ではなく、素敵なサプライズを用意してくれていたらしい。
ウイットに飛んだ様々な出来事が思い出として残っているそうだ。
早く亡くなってしまったその叔母を想う著者の気持ちがせつなかった。


開いて直ぐにあるカラー写真は見慣れた土地のもので、著者への親近感が沸く。
昔住んでいた辺りに住んでいるようなのだ。
そんなこともあって楽しめた。
エッセイなので2~4ページで1つのエッセイといった構成なので気軽に読めるのもいいところ。
日常をこんなに面白く読みやすく書けるなんて、やっぱり今後も期待できる作家だと思った。
肩のちからを抜いてのんびり読める1冊。


<理論社 2003年>


角田 光代
これからはあるくのだ (文庫本)


角田 光代
これからはあるくのだ (単行本)