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原案 Snowyさん

(事実と異なる部分が有りますが、フィクションとしてご了承下さい。)



私はその日、ノーベル賞を授与された。


全人類からの賞賛を浴び、一人悦に入った。


【当然の事だ…。】


こんな快挙を成し遂げて、胸を張らぬ者はいまい。


「先生!おめでとうございます。

今回の受賞に関して一言お願いします。」


レポーターたちが、一斉に碇の元に群がる。


「ありがとうございます。
今回このような、大逸れた賞を戴けましたのは、
ひとえに関係者全ての皆様の御尽力のお陰です。
心より感謝致します。」


心にもない言葉だった。


【私が、20年以上努力した結果だ】


【人類全てが私に跪いて当然なのだ。】


その後数年をかけ、人類全ての遺伝子治療が行われた。


非常に高額な治療費が必要とされたが、大した問題ではない。


今までは、例えば一億と云う金は、
普通に返せる金額ではなかったが、
今では寿命が尽きる事がないのだ。
100年単位のローン返済が可能なのである。



全人類の治療が終わった時、神の審判が人類に下った。



それは、ある日突然始まった。


いくつかの段階があったが、

まず人類を混乱に陥れたのは、
急激な性欲の減退、そして喪失だった。


一度に全人類の性欲が喪失したのであれば、
まだ混乱は少なかったかもしれないが、
それにはタウムラグ、個体差があったのだ。


夫婦、恋人、カップル間に大きな亀裂を生じさせた。

片方が欲求不満を募らせる事となってしまったからだ。



臨床の期間が短すぎた。


【副作用だ…。】


私がそれに気がついた時には、
更なる悪夢が人類を襲っていた。


人類は、完全に生殖能力を喪失してしまった。


精子、卵子、ともに人類の肉体から消失してしまったのだ。


人類の混乱は頂点に達した。


私は全人類の英雄から、唾棄される存在に転落した。


人類の繁栄ではなく、破滅への引き金を引いたのは…、

私だ。


つづく