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ラポンは草原を彷徨っている。

サパンは葦が原生する沼地を彷徨っている。

二人はお互いの存在を知っていたが交わることは無かった。

時の狭間は二人の思考を朧気に漂わせてそよ風はその香りを伝えている。

ラポンの思いはあの希望の地に辿り着くことだけ。

サポンは絶望の川を求めて歩き続ける。

草原は葦をゆらし、葦は草原に光を灯す。

ついにラポンは神へ願いを伝えた。

「神よ。どうか私の願いを聞いてくれ。」

神はサポンに語り掛ける。

「サポンよ。お前は何故歩き続けるのだ。」

サポンにその声は届かず、葦の群れにそよ風が再び香りを届ける。

ある日、ラポンの前に海が見える丘が現れた。

海はラポンに希望の光をキラキラと輝かせて見せた。

しかしラポンにはその意味が解らない。

サポンには分かるはずの希望の光がラポンには解らないのだ。

そして神は希望の地を地上から消し去った。

希望の地が消えた事を知った絶望の川はその流れを止めた。

ついにラポンとサポンは永遠にその願いを遂げる手段を失った。

今日も草原は葦をゆらし、葦は草原に光を灯した。

葦の群れにはそよ風が香りを届け続ける。

幻想は瞳を閉じた。



オシマイ