皆さん、こんにちは。5月に入り、真夏日も各地に出始めました。夏の気配を感じますが、体調には気をつけたいですね。

さて、今回の院長ブログも治療終了の患者さんのご報告です。

初診時年齢が45歳で、なかなか矯正治療を開始するには勇気が必要な年齢層でした。どうしても矯正治療は子供や青少年がするもの、という概念が強くあります。しかし、歯科医師からすると、不正咬合を放置することにより、虫歯の発生や歯周病による歯の喪失、それに伴い咬めない、頭痛、肩こり、などの各種の健康被害が広がるので、成人といえども積極的に治療を行うことが勧められる症例もあります。この判断は難しいとは言えますが、人生100年を多くの自分の歯で生きていくには、45歳はまだまだ若い年齢と言えます。

 

主訴は凸凹でした。

ご覧のように、前歯部に凸凹が集中しているのがわかります。後方部の歯も、過去の虫歯により詰め物やかぶせ物が多数存在していました。

 

お顔の写真です。笑顔での歯の凸凹は目立ちますが、口を閉鎖した時のアンバランスは特には感じません。

 

パノラマ写真です。右上4番目の歯がすでに欠損して前後の歯はブリッジによる治療がなされています。また右上の大臼歯部には歯周病による歯槽骨の吸収が進んでいました。

 

横顔のレントゲン写真です。骨格的な問題は認められませんでした。また前歯部の前後的傾斜にも問題はありませんでした。

 

治療方針は、右上はもともと小臼歯が1本欠損しているので、それ以外の左上第二小臼歯、下顎の両側第二小臼歯の計3本を抜歯としました。そのスペースに前歯部の凸凹を綺麗に配列する計画としました。ブラケットを装着して、3.0~4.0年の予定で治療を開始しました。

 

治療開始時

抜歯やブリッジを切断などを行い、ブラケットを後方部分に接着して、治療を開始したところです。前歯部は凸凹が強く、すぐには動かせないため、まず犬歯や小臼歯を先に後方移動を行い、前歯部の凸凹を改善するスペースができてきてから、前歯にブラケットを接着することとしました。

 

治療開始後1年経過時

上顎は前歯のコントロールが始まっています。下顎はまだスペースの閉鎖作業中です。

 

パノラマ写真です。右上の歯周病の進行が見られました。親知らずは抜去しました。また第二大臼歯に周囲の骨の急速に喪失してきています。

 

治療開始後2年経過時

スペースもだいぶ無くなり、下顎の前歯にもブラケットが付きました。しかし上下の正中線が大きくずれていたので、この修正を今後行っていきました。

 

パノラマ写真です。右上の大臼歯部の骨吸収も依然認められていました。

 

治療開始後3年経過時

上下の正中線も綺麗に一致してきました。1か月後に治療終了としました。

 

治療前後のお写真を並べてお見せします。動的治療期間3年1か月でした。

凸凹は改善し正中線も一致しました。ただ最初から懸念していた右上の大臼歯の歯周病は進行して歯茎の退縮がみられ、歯根の露出も多く、動揺も強い状態でした。長期保存は厳しい状態でした。

 

これは治療後のみです。下からの写真です。内外側的にも適切に配置できています。

 

お顔の正面です。笑顔での前歯の配列は本当にきれいになりました。

 

斜めと横顔のお写真です。よりすっきりした感じです。

 

根の吸収はありませんが、右上の大臼歯部の骨吸収は著しいといえます。

 

横顔のレントゲン写真です。前歯が少し後方に入った分、口元も少し後退しましたが、バランスは良好と思います。

 

治療終了おめでとうございます。歯列は綺麗になり歯ブラシもしやすくなりました。咬合も良好ですが、右上の歯周病の進行は止められませんでした。不正咬合を改善したからといって、歯周病が治癒するわけではありません。しかし、歯周組織が健全な部分は心配はありません。まだ不安定ですので、リテーナーでしっかり管理していきましょう。お疲れさまでした。

 

それでは、暑さにも慣れていかないといけませんね。体調管理を気をつけて頑張っていきましょう。

 

●今回の写真の掲載は、患者さんに了解を得ております。

●今回の総費用:73.5万円(治療期間3年1か月)

●治療における一般的なリスクについて

 治療中または治療後には、虫歯の発生・歯根吸収・歯牙疼痛・口内炎・歯肉形態不正・顎関節症・ほうれい線・歯の削合・後戻りなど思いもよらない不都合な合併症のリスクがあります。治療開始時に主な事項についての注意や対応についてお話しし、もし不都合が発生した場合は全力を尽くして対応してまいります。

●治療結果には個人差があります。同様の結果が保証されているわけではありません。ご了解ください。