「あん」に関してはネタバレへの配慮もなく、ただただ見て思ったことを書きます。
あん
らい病だったおばあさんと、どら焼き屋さんのお話なのね、と認識していた。
「働いてみたかったの」
たしか、おばあさんがそんな風に言う。
予告の映像では、そう言っていたおばあさん(樹木希林)がどら焼き屋さんで働いていた。
あんこを煮て、美味しいあんのどら焼きが評判になって店も繁盛。
だから、辛いこともあったけど、今は楽しくてよかったねーって、ほのぼの終わる映画だと思ってた。
油断した。
らい病って、かつては療養所で治療をしたんだって。隔離。
映画を見ながら、「あれ?」と思う。
らい病って、うつるの?
私の中でのらい病は、今はハンセン病って云う、とか、子供の頃に父から聞いた大谷刑部吉継と石田三成の友情、それくらい。
病気を患った大谷刑部が飲んだあとのお茶を、茶会に招かれた他の人は飲みたがらなかった。
(一説によると、顔から膿が出てお茶に落ちてしまったとか)
が、三成だけは飲んだ、だから、大谷刑部は三成の為に関が原で戦ったんだと云う話。
だからね、茶会にも出てるし、普通にくらしているし、うつるわけではないんだろう、と思ってた。
昔は治らないけど現代では治るんだろう、と、子供心に思ってた。
そして、友情の物語に関心が高まって、らい病に関しては興味は深くならなかった。
そんなことを思い出しながら映画を見ていたら、お話はどんどんどんどん悲しい方向に進んでしまう。
らい病患者として家族から引き離された人生、悲しいこと辛いことを見つめながら生きてきた。
子供を産むことも許されず、お寺にお墓を作ることもできない。
1996年にらい予防法が廃止されるまで、ずぅっと隔離された生活をしていたなんて、知らなかった。
明るい日の光の中で、当たり前のように過ごす事ができないヒトが居たなんて、知らなかった。
びっくりしながら映画を観ていたけれど。
映画の中のおばあさんは楽しそうにどら焼き屋さんに通い、日々の何気ない景色、風景、お客さんとのやりとりを心から楽しんでいる。
心無い噂で、店が閑古鳥が鳴く状態になるまで、それは続いた。
おばあさんを守れなかったことを悔やむ店長を、手紙で励ますおばあさん。
それは、悲しさや淋しさ理不尽さに押しつぶされそうになりながらも、どんな時もきちんと空を見上げて生きていたおばあさんの想いがつまった手紙だった。
うーん、どう書いても映画の説明とかあらすじみたいになっちゃうなぁ。
感想文を提出して、先生に叱られる文章の見本のようだわ(^▽^;)
あのねぇ、、、樹木希林がねぇ、私の母と似てるの。
そっくりって訳ではないんだけれど、そこはかとなく似てるの。
そこはかとなく似てるダケなんだけど、時折、本人じゃないの?と思うほど、ハッとするほど似てるの。
それは、兄と私の、子供の頃からの共通認識で。
だから、樹木希林が悲しい映画は観たくないんだよ。
銀幕の中での、楽しんだり悲しんだり落ち込んだり、それぞれの樹木希林が全部母に思えるの。
だから私は、映画のおばあさんが笑えば嬉しいし、おばあさんががっかりしてると心底がっかりする。
銀幕の中のおばあさんは、お母さんなの。
お母さんが病気だったり、子供を諦めたり、年端も行かない頃に家族と引き離されたり、そんなのいや。
なんでお母さんを隔離するの?
お母さんをいじめないで!
ってね、ありえないくらいに感情移入しちゃって。
たぶん、ハンセン病患者と離れなくてはならなかった家族の気持ちを、追体験してしまったような気がしています。
映画を観ながらえぐえぐ泣いて、帰りの車の中でも泣いて泣いて、ベッドの中でも泣いて。
翌朝、まぶたが開かないほど腫れ上がっていたよ。
夫に笑われた。
ハンセン病で苦しんだヒトが居ると云うコトを知って欲しくて、原作者は本を書いたらしいです(私はまだ未読)。
ハンセン病って、日本では新たに発病するヒトがもうほとんど居ないって言っていいくらいの病気だそう。
若いお医者さんの中には、ハンセン病を治療したコト無いヒトもたくさん居るんだって。
「ハンセン病の未治療の患者」から感染することはあるらしいのだけれど、健康な大人ならほとんど感染しないそう。
昔はそう云うコトが判らなかったから、感染力がどれほどか判らなかったから、病気で見た目が変わってしまう人も居たから、病気が怖かったから、患者を隔離したみたい。
今からすれば判らなかったから仕方ない、なんだけれど、本人や家族にしてみたら仕方ないでは済まないよね。
6月10日(水)、NHKの探検バクモンで、「ハンセン病を知っていますか」を放送するそうです。
バクモン、毎週見てるけど、今回は特に注目して見てみようと思ってます。
もうね、泣きすぎて、病気にびっくりしすぎて、映画としてどうだったと聞かれると困るくらいです。
この記事、映画の感想でもなんでもないよね(-。-;)
でも、出演者がきっちり仕事をして、魂が揺さぶられるような映画になっていたと思います。
木にもたれて、日の光を浴びて風の色を眺めている樹木希林の表情や背中が語るものは、私なんかでは言葉にできない。
救いが無い映画、では、ありません。
病気の自分と、家族と、世間を見つめた患者さんたちの、人間としてしっかりとした心根で生きてきた姿を主人公のおばあさんとして描いた物語が、魂を揺さぶるのです。
観ようと思っていた方、私のコレを読んで観るのを止めないでネ。
駆け込み女と駆け出し男
これはねぇ、映画として、とても好き。
立て板に水状態の役者の台詞と、テンポ良く進むストーリー。
鎌倉の美しい景色と共に、女たち、男たちが描かれて。
観終わった後も、本当に気持ちの良いストーリー展開。
私が過去に見たことある映画の中で、一番好きな映画になりました。
原作読むのが楽しみ。
駆け込み女にも樹木希林が出てるんだけど、別人の様。
上手いねぇなんて言ったら、叱られそうだけど、うまいよねやはり。
そして、いま放映してる「海街dairy」にも出てるんだよね。←海街は観ていないけれど
映画館に行くと、3つの映画に出演している。
凄いぞ!樹木希林!