すずらん街の「カレーの青空」の左隣は小さな床屋で、そのまた隣は駅前通りとの角のビル。

そのビルの2階に「オイルキャンフリー」というアメリカンスタイルの喫茶店兼バーがあった。


この店は三中の同級生のN君がやっていた店。床は総板張り。西部劇に出てくるような5人座れるカウンター席と、窓際さに4つ、まん中に2つのテーブル席があった。

東南2方向の窓から絶え間ない人と車の流れが見えて、それが何とも都会的だった。

置いてある灰皿、コップ、壁のデコパージュもアメリカ製で、NYにでも来たような気分になった。ピザもコーヒーも本格的な出来だった。

当時の山形にはこういう進歩的なスタイルの店はなく、よく高校生がデートに来ていた。会話が続なくて二人で下を向いてるのが初々しかった。


N君は舟形町出身の奥さんとアメリカをバイクで旅して、雑貨を集めて来たんだそうだ。頼めば旅の写真をスライドショーで見せてくれた。アメリカでは2ヶ月間モーテルに泊まり、毎日毎日マクドナルド食べていたそうだ。


当時、三中の同級会の2次会はこの店でやることに決まっていた。


N君は勉強は得意でなかったが、昔から美術の才能があって、ステンドグラスの作品を作ってそれも売ったりしていた。