(前回のつづきです)

認知症の母の、グループホーム入所が決まりかけている。
私と妹は、その日を“Xデイ”と呼んだ。


そんななか、前より母の夢を頻繁にみるようになった。
そして幼い頃みた母の夢も思い出された。


5歳頃の夢。 猛犬に追いかけられ
母をみつけて助けを求めるが、
「うるさいわね。疲れてるのよ」と、
和室に横になり こちらを見ようともしない。

私は必死で母のまわりを走り続けるが、
母はタオルケットをかけたまま、起きない。
「お母さん、たすけて、こわいよー」

目が覚めて、子ども心に思った。
「そんなはずない。夢だもの.。お母さんだもの」 


その後も長い間、この夢が脳裏に浮かぶたび、
自分に言い聞かせた。
「母親なら助けてくれるはずだ。あれは ただの夢」。


しかし今になるとわかる。
あれは、母の本性を、子どもなりに夢にしていたと。


事実、7歳のとき、庭で転んで尖った石が右足に刺さり
泣いていた私に、母はひとこと「泣きやみなさい」と告げて
家の中に入ってしまった。  ・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

通りかかった近所のオジサンが見かねて、
「奥さん、こりゃ医者行かなきゃダメだよ。ぐっさり切れてる」と
言ってくれたので、しぶしぶ母は私と病院へ。

七針縫った。今もその傷跡は残っている。
そんな母親は、昔からいたのだ。



母が収まる。
そう考えてみると、一緒に暮らしているわけでもないのに
何か母に対する気持ちに余裕が生じてきた。


そしてある日、ふと思った。寿命はわからないけれど、
“母の状態”を参考にすると、
私の“健康寿命”……自分である程度、判断して暮らせる時間は
せいぜい あと20年あるかないか なのではないだろうか。
(母より持病もたくさんあるし…) 

それまで悔いのないよう生きていきたい。

そして、ささやかなことでも、幸せを感じられるよう
自分でも努力しなくちゃね。
修行、修行~!

ああ、母ってホント、反面教師 
母は、私の羅針盤。

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母は、私に いくべき方向を示してくれる
良き、方位磁石 (コンパス) だったのだ。

そう考えれば、母のこれまでの在りように感謝できる。

   【完】


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ここまで読んでいただき、有り難うございます。

皆さまの明日が、素敵なものになりますように。。