前篇 https://secret.ameba.jp/yuugekitai-21/entry-12578752789.html

中編 https://secret.ameba.jp/yuugekitai-21/entry-12578757032.html

後篇 https://secret.ameba.jp/yuugekitai-21/entry-12578759998.html

 

 今年もまたこの季節がやってまいりました!毎年恒例の、2019年の良かったアニメ映画ランキングトップ10を発表致します!!文字数は約1万5百文字です。宜しくお付き合いのほどを宜しくお願い致します。

 アメーバブログで本企画を投稿するのは初めてですので、本企画の経緯を改めてご説明致します。

 3箇月ごとと1年ごとにテレビアニメを振り返る記事をmixi日記に投稿し始めたのが2007年1月3日で、当時、私はUHFアニメを中心に視聴し、独立UHF局各局が深夜アニメ放送本数や放送日の早さを競っていたことから、タイトルは「200×年第×クールを総括するMX対tvk対テレ玉対チバ」と銘打ちました。

 2008年2月3日にはヤフーブログにも投稿するようになり、2010年と2011年にはテレビアニメだけでなくアニメ映画も振り返りましたが、2012年からはテレビアニメの視聴が追い付かなくなりましたので、アニメ映画のみ振り返るようになりました。しかし、ヤフーブログ時代のタイトルは2011年までの名残りで、そのままにしていました。2019年にヤフーブログが閉鎖されてアメーバブログに引っ越したことから、1年間のアニメ映画を振り返る記事は今回初めてアメーバブログに投稿することになります。過去の記事にはバックナンバーのリンクを貼っていましたが、ヤフーブログからアメーバブログに引っ越しましたのでリンクは無効になっています。

 今回、アメーバブログでの第1回となりますので、心機一転し、タイトルと本文の趣旨を一致させる為、タイトルから「MX対tvk対テレ玉対チバ」を外すことにしました。

 

 では、2019年のアニメ映画を振り返りましょう!!

 第10位…『HELLO WORLD』
 現実世界とそっくりに作られた仮想空間を舞台にした作品。本作に登場する仮想空間には自分の意志を持った人間すら居住しており、そのことが仮想空間の再現度をより一層高めています。
 本作の台詞の中で、私が特に鋭いと思った台詞は、仮想空間の住人に対し、自分が住む世界が仮想空間だと納得させるのは無理だという指摘です。本作の仮想空間は自我を持った住人が住んでいますので、我々が住む現実世界に実在する仮想空間よりも未来の代物なのですが、上記の指摘は、我々が住む現実世界に実在する仮想空間に対しても鋭い意味を持っていると思います。即ち、リアリティーが高まった仮想空間は、現実世界と区別がつかないということを意味しています。AR(拡張現実)はスマートフォンやタブレットの画面を通して視聴するので、流石に現実世界と区別がつかなくなることはないでしょうが、ゴーグルを着用して視聴するVR(仮想現実)は、現状よりももっと進化すれば現実と区別がつかない程のリアリティーを獲得するかもしれません。
 本作で仮想空間が構築された理由は、歴史の記録の為に都市を丸ごと仮想空間に保存してしまおうというもので、現実の我々が昔の都市を知ろうとする場合は昔の映画や写真に頼っているのに比べれば大変価値のある行為です。仮想空間の技術を、我々がどのように進化させ、どのように活用するのか、果たして有益な活用の仕方ができるのか、この映画は我々に問うていると言えます。
 さて、以下に掲載したポスターは実際に映画館に掲示されていたもので、私が写真を加工した訳ではありません。文字が正常に書かれたポスターもありましたが、「もう1つの世界」という本作のテーマを象徴的に表現していると判断し、こちらのポスターをご紹介します。


<製作委員会>東宝、グラフィニカ、ひかりTV、集英社、ジェイアール東日本企画、ムービック、毎日放送、テレビ大阪、関西テレビ放送、読売テレビ放送、ローソンエンタテインメント、サイバーエージェント、丸井グループ、TOKYO MX、LINE、メモリーテック・ホールディングス
<配給>東宝
<アニメーション制作>グラフィニカ
<スタッフ>脚本・野崎まど、キャラクターデザイン/作画監督・堀口悠紀子、音楽・2027Sound、CG監督・横川和政、監督・伊藤智彦
<出演者>堅書直実・北村匠海、カタガキナオミ・松坂桃李、一行瑠璃・浜辺美波、カラス・釘宮理恵、他

 第9位…『劇場版響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』
 『響け!ユーフォニアム』シリーズの新作で、映画としては『劇場版響け! ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~』『劇場版響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~』『リズと青い鳥』に続く4作目。

 主人公世代は2年生となり、部長・副部長も過去の作品から交代しました。個人的には中川夏紀(声・藤村鼓乃美)が副部長に就任したのが感慨深い。

 劇中の描写では演奏の腕前はあまり巧いとはされていませんでしたが、人柄が良かったですからね。私は現実の部活動における人事は存じておりませんが、演奏の腕前が求められる役職と、人柄の良さが求められる役職は異なるのでしょうね。
 さて、本作は高校の部活動を描いた作品ではありますが、高校の部活動と雖も現代日本社会の風潮からは逃れられず、現代日本の縮図みたいになっているのが興味深かったです。私が本作から感じた現代日本社会の風潮は、働き方改革です。
 本作の部活動におけるパート練習は何時までと定められていますが、まだ不充分であると考える部員は居残りで練習する一方、練習の目的は達成されたと考える部員は帰宅します。この時、居残りで練習する部員の方が多数派なんですね。
 従来の日本社会におけるよくある風潮だと、ここで「自分達は残るのにお前だけ先に帰るのか」という不満が出たり、「遅くまで残る人が偉い」という基準で他人を評価する人が現れたりする訳ですが、近頃流行りの働き方改革によれば、長時間かけて出した成果と、より短い時間で出した成果が同じであるならば、より短い時間で同一の成果を出す方が価値のある行為であるとされています。ということは、従来の日本社会でよく見られたような「遅くまで残る人が偉い」という発想ではなく、「遅くまで残らずに成果を出す人が偉い」という発想に、180度転換するのが働き方改革である訳です。
 これを踏まえて本作の上記シーンを見ますと、もし全員が居残るべきなのであれば最初から「練習は〇〇時まで」と設定すればよい訳ですが、居残る部員が心の中で本当はどう思っているのかは別として、練習の目的は達成されたと考える部員は帰宅し、他の部員から居残りを強制されてはいません。
 本作は高校生の努力や苦悩を活き活きと描いている点が優れていますが、それだけではなく、現代日本社会特有の事情を背景にチョロッと潜り込ませることで、よりリアリティーのある作品になっているというのが本稿の結論です。


<製作委員会>京都アニメーション、ポニーキャニオン、バンダイナムコアーツ、楽音舎
<配給>松竹
<アニメーション制作>京都アニメーション
<スタッフ>原作・武田綾乃、原作イラスト・アサダニッキ、脚本・花田十輝、キャラクターデザイン・池田晶子、総作画監督・池田晶子/西屋太志、楽器作画監督・髙橋博行、音楽・松田彬人、監督・石原立也
<出演者>黄前久美子・黒沢ともよ、吉川優子・山岡ゆり、中川夏紀・藤村鼓乃美、久石奏・雨宮天、他

 第8位…『映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』
 サンエックスのキャラクター商品『すみっコぐらし』の映画化。
 本作の最も魅力的な点は、キャラクター(すみっコと呼ばれる)が可愛いことなのですよ。すみっコが喫茶店のソファーで座っているだけで可愛いんですからもう反則です。
 ストーリーは、すみっコ達が世界の童話を描いた絵本の中に入り込んでしまうというもので、絵本の世界の住民との出会いを描いています。出会いがあれば必ず別れもあるということで、終盤の別れのシーンがとても悲しかったです。しかし本作の良い所は悲しい別れのシーンの後に心温まる展開を用意し、後味の良い余韻を残したことです。

<製作委員会>アスミック・エース、サンエックス、ファンワークス、タカラトミー、イマジニア、日本コロムビア、ジェイアール東日本企画、主婦と生活社、イオンエンターテイメント、システムサービス、日本出版販売

<配給>アスミック・エース
<アニメーション制作>ファンワークス
<スタッフ>原作・よこみぞゆり、脚本・角田貴志、音楽・羽深由理/出羽良彰/堀川真理子、監督・まんきゅう
<出演者>井ノ原快彦、本上まなみ
 

 中篇に続きます。