衝撃的で絶望的なサイボーグ009 |  ZEPHYR

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メルカリ……なるものに、

初めて登録して、買い物をしたジジイです。(笑)

 

今ごろ!? と言われそうですが。

ジジイなので、お許しを。

 

何を買ったかというと……漫画の大人買いです。

 

 

秋田書店のサイボーグ009全15巻」

 

私、昔は全巻持っていたのです。

しかし、たぶん大学時代か? 金欠になったときに売っちゃったのです。

オヨヨ……(・_・、)

 

これを入手するために、メルカリに登録する必要があったのです。

 

「サイボーグ009」は、石ノ森章太郎先生のライフワークとも言うべき物語で、先生の没後、わりと近年ですが、完結編が先生の後進たちによって描かれました。

それは、私も読みました。

 

でも……

じつは、私の〝本当に読みたかった結末〟は、この画像の右側、10巻の「天使編」の直接的な完結だったのです。

〝完結編〟は石ノ森先生の構想メモに従って作られたものなので、ご存命でも同じようなものになったと想像されます。

 

歳月が経過する中で、構想が変わって行かれたものと想像します。

 

しかし、この昔の10巻の「天使編」は少年だった私には、衝撃的でした。

たぶん、読んだのは10代の前半……

 

主人公の島村ジョーは、人類全体の死の商人をさらに悪しき道へ誘導するブラック・ゴーストによって捉えられ、核戦争や宇宙空間での戦闘にも耐えられる存在として改造されます。

彼以外にも、試作品である00ナンバーのサイボーグが、1~8まで仲間として存在します。

 

この9人が、今風に言えば、人類の集合意識の闇と戦い続ける物語です。

 

「天使編」は、ここの前提が完全に覆っていて、

敵が天使……

神なのです。

 

この天使は、物語の中で、あきらかに地球外から来ており、説話通りに翼を持ち、様々な超能力を駆使でき、サイボーグたちのほとんどの能力が通用しないという、超絶存在として描かれています。

 

彼らと対峙したとき

「敵なのか味方なのか」

「本当に神なのか」

というジョー(009)の問いかけに、

天使が返す言葉が、

「お前たちの言う神がどんなものか知らないが、お前たちの造物主という意味でなら、その通りだ」

「お前たちを作ったのは、我々だ」

「だが、〝収穫〟に来てみてガッカリした」

「あまりにも出来が悪い」

 

がーん!

という感じ、ないですか?

こんなストーリーを、1970年頃には石ノ森章太郎先生は描いていたのです。

 

「だから、最初からやり直すことにした」

という天使たち。

つまり今の人類の文明を滅ぼし、試験的に人類を類人猿に戻す……というようなことにまでに着手していた。

 

科学力も、能力的にも、まったく絶望的な〝格差〟があります。

 

しかし、009たちはこの天使=神に、勝とうとしないまでにも、レジスタンスしようとします(勝てるはずがない)。

人類は出来が悪いかも知れないが、すべてが悪い種ではない。

悪い種であれば、自分たちで改良したいと。

そういう意志を示し、抵抗をしよう……

 

というところで、物語は終わっています。

かすかな希望の種を見せつつ……

 

この「天使編」は、この009シリーズの集大成として、最後の戦いとして描く、というのが、石ノ森先生の初期のお考えだったようです。

 

その構想がふくらんで、近年の「完結編」になったようなのですが。

 

が。

 

個人的には、あの「天使編」のストレートな続編が見たかった。

あれほど、絶望的な展開はない。

だからこそ、どうなるのか、知りたかった。

 

しかし、描かれなくてもよかったのかも知れない。

 

というのは、009たちの苦闘の果てに、人類がもしかすると救済されるかも知れない未来は、提示されないほうがいい、とも言えます。

そんな、生やさしい現実ではない。

 

地球外生命が人類の誕生に関与したのではないか、という仮説は過去に多くあります。

その真偽はさておき。

(妄説も多いと思いますので、ご注意を)

 

漫画にしても、物語は、本質的に寓話です。

何かに仮託してテーマを語っているわけで。

 

ハーーピーエンドにしないほうが、本質を語る

最後まで描かないことで語る

というような形式があってもよいかと思います。

 

とくに、この「天使編」は、初期の段階ですべての提起がなされています。

 

といっても、読者としては、不完全燃焼に「むき~~」となりますが。

今でも、いろいろと考えさせてくれます。

 

 

仮に、ですよ。

 

人類という種の発生に関与した、地球外生命があるとして。

彼らは当然ですけど、現代文明よりもはるかに進んだテクノロジーを持っているはずです。

 

高次元の意識を持っているかどうかは定かでないですが。

(テクノロジーだけが進んでいる可能性もある)

 

しかし、「がっかりした」というのは何を見て言っているのか? 

というところですよね。

 

普通に人類以外の高度な生命体が存在していて、今の私たちの世界を見たら、どう思うでしょうね?

なんとも未開で、未成熟な意識しか持たない種ですよね。

しかも、そういう意識の人たちが、むしろ国家の舵を取っている。

いつまでも戦争ばかりやって、個人的な利権ばかり貪って。

 

いやー、普通に〝神〟だったら、

「これ、もうダメなんじゃね?」

「とりあえず、このルートは終わらせとくか」

と判断しても仕方ないですよね。

 

彼らにとっては、人類が様々な動植物を品種改良するのと同じですから。

私たち人類も、望まない品種になったものは、そこで終わらせるわけで。

 

私たちの造物主でなくても、今、この地球を〝観察〟している人たちは、私たちのことをどう思っているのでしょうね?

さぞかし……

……

……

……

でしょうね。

そういう巨視的(地球という枠を超えた)なことさえ、考えさせてくれます。

 

この009シリーズには、第3次世界大戦後の未来人の話もあります。

これなんか、めっちゃ考えさせられます。

 

ただし、私が読んだ、初期版とは違った〝改変〟が後で行われていますが……

本当はもっと露骨なものでした(私が持っていた本は、石ノ森ではなく〝石森〟だった)。

「ウルトラセブン」の欠番となった第12話と同じような傾向の話です。

 

今でこそ、復刻させるべきと思うけどな。

 

 

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