遠い昔 | 青空の向こう側 ~悪性脳腫瘍と闘った息子の闘病記とその後‥……~

青空の向こう側 ~悪性脳腫瘍と闘った息子の闘病記とその後‥……~

11才の息子taaを2014年2月に脳腫瘍で亡くしました。taaの頑張った足跡と、私、母親の当時の思いや今の気持ちを残そうと思います。     
~追記~
taaが亡くなった後、兄が不登校になりました。全日制の高校を中退。通信制へ転入しました。

11年前………

私はこの町へ越してきた。


まだ若かった旦那とアタシ。
保育園年少のtaaと年長の兄ちゃん。

まだ妹は生まれていない。



景色が違うのはもちろんのこと、空気も全く違うと感じた。




家の横にある公園に、カモシカが横切った。

少し離れた山道ではリスやサル、イノシシも見かける。

ふきのとうやワラビも初めて見た。




私達家族は、この場所で新しい未来が始まるんだ。



そんな期待と希望に満ち溢れていた。







しばらくして妹が生まれ、五人家族となった。




毎日が忙しくても、楽しかった。

なかなか帰ってこないtaaと兄ちゃんを窓から大声で叫んで呼び寄せた。

毎日怒っていたけど、毎日笑っていた。





今ではもう、遠い遠い昔のように感じる。



子供達にせがまれ、クワガタ探しに夜のドライブへ出掛けたことを思い出した。




これも、遠い昔のこと。



過去には戻れないのは知っている。
私だけじゃない。みんな一緒。

大丈夫。
私は大丈夫と
言い聞かせる。





それでも時々思い出す。



遠い昔の記憶は、楽しかったはずなのに悲しく切ない。

だけど、一番の宝物。