昨日は、この「トロピック・サンダー」の感想文を
更新するはずだったのに、長男の新ケータイにはまり
コメレスの時間さえなくなってしまい、すみません~。
更新後即書きます。
しかし、久しぶりにケータイ話題を書いたら...
ランキングが暴落(爆)。そのせいか、もう
どうとでもなれランキング状態になっておりますが(笑)
まずは、一昨日、間違って下書き段階で公開してしまった
「トロピックサンダー熱帯雷」感想文、行きますっ!!!
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これ以上読みたくないというお怒りは、どうか
人気ブログランキングへぶつけてくださいーっ
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この映画を笑いの好みがそっくりな長男と一緒に見てよかった。
長男は、自分がおかしいと思う箇所を私が他の用事をしていて
見過ごすと「ちゃんと見てっ」だの「早く来てっ」だの
怒りながら、もう一度、繰り返すし、それが不可能な
劇場やら、TV放映やらだと、「あ~あっもったいない」
「ちょうどいいとこ見過ごして」と責めるのだが
そこを除けば、誰かと一緒にバカ笑いできるというのは
非常に愉快であり、「よく、ここまで育ってくれた」と
感慨深かった。(涙)

だが、この映画に関しては、映画ブログの大先輩で
素晴らしい映画ブログ仲間(最高の映画レビュー者達)
を飴世界で開拓し、そこに、私も最近、仲間に入れさせて
もらっているという畏友エイガリアン
「映画はええがな」
と、評価が分かれてしまった。
エイガリアンとは、「モンティパイソン」系笑い、
ウィル・フェレルそしてベン・スティラー系芸人が好き
アダム・サンドラーがちょい苦手という所で笑いの好みは
強く似ている。(男の好みは【全く】異なるが。)

そこで、私は、どこが「今一つ」だったのか考えてみた。

とりあえず、共通したのは、白人系オーストラリア人
俳優でありながらモーガンフリーマンのような
しぶめ「お説教達人」系黒人兵士を演じた
ロバート・ダウニーJRが最高だという点と
ベン・スティラーは笑いに最高価値がある家庭で
育ったんじゃないかという点と
マシュー・マッコノーヒーが失恋でダメっていたオーウェン
ウィルソンのための役で代打したのは力不足だったという点だ。

おそらく、この映画にオーウェンが出ていたら
エイガリアン評も、十億倍くらい元気が出たはずだ。
マッコちゃんは、体も顔も頭も性格も良い人なんだが
この人は、広末涼子の様に、時代を間違って生まれて
しまったんじゃないだろうか。
彼はポール・ニューマンや、ロバート・レッドフォードの
全盛期に役者となるべく人だったのだ。
それは、広末涼子が、吉永小百合全盛期に出るべき女優
だったというのと全く同じである。

彼には、オーウェンの「とぼけ味」は出せない。
何故なら、オーウェンの様な、失恋で映画出演を
ミスるほどの「だめ男ぶり」に欠けているからだ。
彼は、マジメ優等生過ぎるのだ。今の時代では、
アメリカで政治家になるか映画を作る側にまわるか、
徹底的な悪役になるかしか活路を見いだすのは難しい、
無意味にハンサム無意味にセクシーな男なのだ。

驚きの配役で出演している某俳優(笑)は,
ここでの思い切ったはじけぶりはさておいて
普段では正統派二枚目・好感度高い色男役で活躍しているが
彼には、背が低いという「(古典的な)欠点」がある。
実は、この背が低いというのは、現代の俳優にとっては
観衆に親近感を抱かせるという強み「長所」なのである。
しかも、彼は、この映画に、ベンスティも影が薄まるほど
「笑いのためなら死ねる」的覚悟で挑んでいる。
最後の東西インディアンと新興宗教がまざった様な
狂気ぎりぎりの踊りは彼の観客への宗教的メッセージであり
おそらく、どんな主演映画よりも出演を楽しんだはずだ。

この映画は、英国モンティパイソンの精神を
受け継いで作られていると私には感じられたのだが
英国人を観客とするモンティパイソン映画は
フツーの英国人が持っている「キリスト教」や
「英国の歴史」という「常識に近い一般教養」を
土台にして笑いを取ることができるのだが
ベンスティには、それは不可能な話だ。
何故なら、アメリカの観客には、その共有の
一般教養的土台が無い。
「ユダヤ的な笑い」でも、かなり行ける事は
行けるのだろうが、それは一般的ではない。

アメリカの映画観客に共有した一般教養が
あるとしたら、それは「映画」であり
おそらく「スポーツ」なのである。
そして、ベンは、「戦争映画」を
この映画の笑いの土台として選んだ。

同時に、彼は、アメリカ人だけではなく
本当の戦争を知らない人々が、密かに
恐怖感を抱いている「切断」「内臓」「首」を
タコやスルメ、ゲテモノ料理の様に描き
また、戦争未体験者の「戦争を知らない」という
罪悪感を、この映画の登場人物全てに負わせ、
義手やらパンダやら背中にしがみつく男児を
もぎとり彼方にぶっ飛ばす事によって
その罪悪感を昇華させているのだ。

さらに、この、戦争映画を愛しながら同時に笑い飛ばす映画を
米国で撮る事ができたベンスティの「根回し」力は非常に強い。
もともとユダヤ系は米国のショービジネスでは
強い影響力をもっているが、彼は、若世代の王者だろう。
そして、その王者である事自体を笑いにしてしまっているのが
このベンスティの最大の武器であり魅力なのだ。

だが、この溢れるばかりの魅力は、飽和寸前なのである。
それを、うまくガス抜きさせ爆発を避けつつ
笑いガスに変えるという役割を担っているのが
可愛いダメ男のオーウェン・ウィルソンだったのだ。
つまり、オーウェンは、この映画には不可欠な存在で
そのオーウェン度に、どれだけ敏感か、
その敏感度が、この映画に対する評価を決めているのである。
エイガリアンが、この映画に物足りなさを感じたのは
「オーウェン敏感指数」が
最高値に近いからであったのではないだろうか。

一方、オーウェン敏感指数が、それほど高くなく、
切断恐怖や戦争罪悪感の強い私は
この映画は、心の底から楽しんだ。
「レッド・クリフ」よりも、遥かに強力に
お薦めな映画だと瞬きせずに言える。

つべこべ書きましたが理屈抜きで楽しめる映画ですっ
是非どうぞーーーーーーーーーーーーーーっ!!!

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