もうすぐ母の命日がやってきます。

母が亡くなって8年が過ぎようとしています。


この時期は自分でもどうしようもなく、落ち込んだり、ハイになったり

感情の起伏が激しくなってしまいます


母と過ごした最後の時間を思い出してしまいます。


ケンカばかりしてました。

思えば、母は自分の体調が思わしくなくて、情緒不安定だったんでしょう。


でも、まだ小さい次男や、手のかかる子どもたちを抱えて母の通院などに

付き添っていた私自身もいっぱいいっぱいの状態でした。


母が倒れる2週間前に、友人達と久しぶりに映画を見に行くことになり、

午前中の数時間、次男を預かってもらいました


まだ、マイカルの出来る前だったので、電車で数駅の街で映画を観て、

お昼ごはんをどうしようかといいながら、電車で戻ってきたら、

改札口前に母が次男をベビーカーに乗せてたたずんでいました。


雨の降る、ちょうど今日のような天気の日でした。


私を見つけてジタバタしてる次男の後ろで、母はベビーカーにすがって

しゃがみこんでいます。

私がいなくてぐずる次男をあやしていたけど、どうにも泣き止まないので

ベビーカーでお散歩して駅に来たというんです


でも、駅まで歩いてきたら調子が悪くなって、たっていられなくなったらしいのです。携帯酸素を持ってなかったので、呼吸が苦しくなったようです。


携帯も持っていなかったときです

よく駅で会えたなあって思いました


どこか映画館の近くでお昼でも食べていたら、会えなかったんですから


なんだか、虫の知らせのようでした


友人と別れて、タクシーで家に帰りました


帰る道中、

「ごめんね、せっかく映画を楽しんできたのに...お昼もみんなと食べたかったんじゃないの?」と母がいいました。


「いいよ、映画は見たんだし、楽しかったよ」


そういいながらも、何となく残念でした。

母の体力を考えたら、子守なんてムリだったのに.....。





その翌年のこと

やはり今日のような雨の日


私はパートで事務をしていました


でも、次男は喘息があったり、風邪をひきやすく、しょっちゅう熱を出して

会社に幼稚園から呼び出しの電話がかかってきました。


その日も休みが続いてやっと出勤したばかりだったのに、熱がでたので

お迎えにきてくださいと幼稚園から会社に電話がかかってきて、仕事を早退して迎えに行きました。


幼稚園に迎えにいって、家に帰る途中で生協とレンタルビデオショップが一緒の店に寄り、買物と次男が横になってても退屈しないようにとビデオを借りようと思いました。


次男は後ろの座席で横になってましたが、

「一緒にお店にいく?」と聞くと

首を横に振って毛布に包まってしまいました

「じゃ、急いでいってくるね」

と店に入って、ポカリスエットや次男の食べられそうな物を買って

2階のビデオショップでアニメの作品を物色していたら


「○○くんのお家の方~、いらっしゃいましたらサービスカウンターまでお越しください」と放送で次男の名前がでたのでびっくり


あわてて階下の生協のカウンターに行くと

しゃくりあげて泣いてる次男とお店の人が数人いました。


「車の中でおお泣きしていたんですよ。こんなに汗びっしょりかいて...」

怒ったような口調でお店の人は私に向かって言いました


「子どもを車においていくとあぶないですからね」



なんだか頭の中が真っ白になるような感覚を覚えながら

「どうもすみませんでした」というのがやっとでした。


私は「子どもを車に放置してビデオショップにいる母」と見られてしまってました。


汗は熱のせいだったんですけど、

そんなことはお店の人にはわからないわけで....



「泣くんだったら一緒にお店にくればいいじゃない」と、

次男に向かって怒鳴ってました。

最低な母親ですよね



家に帰って、荷物を降ろすなり、ぐしゃぐしゃになった感情が一気に

あふれて、その場にしゃがみこんで泣いてしまいました。


ひとりで子どものこと、家のこと必死でやってるのに、

子どもの具合が悪くてまともに働きにもいけない



ちょうど母の命日前の情緒不安定も手伝って

ボロボロになって泣いてました


すると、次男が半べそをかきながら

「おかあしゃん、だいじょぶだよ、ごめんね」

っていいながら

私の頭に小さな手をおいて

なでなでしてくれました


小さな手にせいいっぱい私への愛を込めて

なでなでしてくれてます。


思わず次男を抱きしめて

もっと大きな声で泣いてしまいました。


何が一番大事か、わかった瞬間でした。



その日以来、子どもが具合悪かったら母は休むの当たりまえ!と

強気で仕事してきました。



あの日、次男を抱きしめて、一緒にお昼ねした時に聞こえていた

雨の音.....


今日はその次男は朝からお友達と遊びまくってます

まだ時折熱を出したりしますが、随分たくましくなりました。



ふと、あのときのちいさな手を思い出しました。