ちょいと縁あって「人間合格」 という芝居を観てきました

「人間失格」という小説を書いた太宰治こと津島修治の半生を描いてます


太宰治という人をどれくらい知っていたかなあと考えると...

「走れメロス」は学校の教科書に載っていて、朗読劇みたいのをやった記憶があるのと

「斜陽」と「人間失格」は読んだはずですがぜんぜん覚えていません

もっともそれらを読むには自分自身の経験がまだまだ少なくてお子様だったので

理解できなかったんだとおもいます


舞台は6枚の太宰治の写真のパネルから始まります

太宰治を演じている岡本健一さんなんですけど...

まあ、なんと雰囲気が似ている!!

おまけに男前!!恋の矢

男闘呼組のころはよくTVでみてましたが、最近はぜんぜん見てなくて...


いやあ、演技うまいんですねえ

自分の生まれゆえに生き方に苦悩するさまに胸打たれました


今は誰でも「戦争反対」「平和な世界に」って言うことができます

その言葉すら禁じられていた時代がこの日本にはあったんですよねえ


でも、最近の日本は、なんだかだんだん危ない方向にいってないかなあって思うこのごろです


6人の出演者がすばらしい

ひたすら自分の理想を絶対と信じて非合法活動に命をかける男、佐藤

仲間とともに活動をしたいと思いつつも役者として成功して有名人になってしまう山田

太宰を愛して活動から何とか切り離そうとする中北

そして彼らとかかわりながら運命を共にする女たち


特に私は中北を演じた辻さんにすごく惹かれました

津軽弁うまかったですねえ

八戸が本社の会社で働いていたときに聴いた「津軽弁」にそっくりです

もっとも本格的な津軽弁で話されたら字幕がいりますもんね

口うるさくて上から目線で、権力に弱くて体制によっていて...

それでいて簡単に信念を変えることができる


今の日本人はこの中北のようなものをもっているんじゃないかなあって思いました

私自身も....


井上ひさし氏の作品は

「父と暮らせば」をやはり舞台で見てました

切なくて切なくて涙が止まらなかったです

切ないんだけど「ありがとありました」っていう控えめなやさしい言葉を

もう一回聴きたくてVTR買っちゃったんですよねえ

映画は観てないんですけどね


「人間合格」も「父と暮らせば」も

戦争がなかったらどんな人生を彼らは送っていたのだろうって思わせるんです

激しい怒りではなくて、彼らの心の優しさを強く感じて包んであげたくなる....

うまくいえないけどそういう気持ちなんですよねえ


とてもよかったです