ゆきたんは病気になってから、


よく「ベルトコンベアーに乗せられて・・・」と言ってた。


自分では何も変えられない無力さを感じてたんだと思う。



当時は僕もそんな風に思ってた。


「ベルトコンベアーに運ばれてゴールに着く」って・・・


「たから歯を食いしばって耐えよう」って・・・


そんな風に、何度もゆきたんを励ました。




でも少し間違ってたなぁ~。




明日どうなるかさえわからない不安と常に闘いながら、


必死で生きていく。


無力さを感じながらも、元気になりたいと強く願い、死の恐怖と闘いながら、


決して諦めず、その時々の今を必死で生きていく。


いろんな事に一生懸命耐える。一生懸命乗り越えていく。



大きな病気になったり、大きなケガをしたりすると,、


無理やりにでも、強引にでも、そんな風に


生きていかないといけないのかもしれない。



すごく辛くて、苦しくて、やりきれなくて、


生きている事が嫌になる事だってあるだろう。


自分で望んだわけでもないのに・・・




でもそんな生き方をしている人は、


何気な~く、ただ日々を過ごしている人に比べ、


より自分の足で人生を一歩一歩踏みしめながら、


しっかり歩いているスゴイ人なんだと思う。



だからこそ気づく大切な事がたくさんあり、


だからこそ辿り着ける場所があるんだと思う。



病気になる前には、僕もゆきたんもベルトコンベアーに乗って


人生を進んでた。確かにそれも幸せの一つの形だった。



病気になりしばらくして、ゆきたんは1人ベルトコンベアーを降り、


自分の足でしっかり歩き出した。僕は応援するだけで・・・


体はボロボロになりながらも歩き続け、辿り着いた。


どんどん強く大きくなっていくのがわかった。


そんなゆきたんを本当に尊敬し誇りに思う。



欧米では、病気やハンディキャップを持つ人を


病人や障がい者と呼ばず、


「チャレンジング・パーソン」(挑戦者)とよぶ習慣があるそうです。


「病気、ハンディキャップ、人生へ果敢に挑む挑戦者」




これからは、僕もゆきたんのようにベルトコンベアーから降りて


自分の足で人生を歩いていけたらいいなぁと思う。


どうすればそんな生き方ができるのか?


今はまだわからないけど・・・ゆっくり考えていきたい。




この数年でものすごく差がついてしまったけど、


ゆきたんが人生という旅の中で辿り着き、


そこから眺めた景色を・・・


僕もいつか眺めてみたい。