KRELL KSA-100mk2 我が家へ | 禁断のKRELL

禁断のKRELL

ハイエンドオーディオやヴィンテージオーディオを語っていきます。


KRELLのブログ



"熱情"と"高揚感"が、

スピーカーから溢れ出てきた。




ついにやってきました、


記念すべきトータルで15代目のアンプ遍歴の末たどり着いた、


KRELL KSA-100mark2 が我が家にやってきたのである。



オーディオ・ステレオ・パワーアンプ


アンプの心臓部とも言えるパワー部分に特化した製品です。



頑丈な木箱に入れられて、運送会社の手により拙宅にやってきました。




個人様との取引なのに、この丁寧な梱包には感激しました。





オリジナルは1980年の発売



過去に一世を風靡した



米国クレルというメーカーの処女作にして



"最高傑作"



と名高い評判の"銘機"です。



しかし、マークⅡは1984年度の製品とはいえ、ほぼ同じ音のモデルが。


(初期に近づくほどより音が良いという評判)







原器が1980年となると・・・



今から30年近くも前に設計、製造されたことになる。




ネット世界で讃えられている反面、




「さすがに古すぎるのでは・・・・・・」




古臭い、


鮮度の劣った、


解像度の低い、



甘い音がするのでは?



そう、



古ぼけた据え置き型のラジオから出る音声のような、こもった感じの音ね、


どれだけ音色(ねいろ)が良かろうが、そんな音には耐えられない。


筆者は大嫌いな音である。




どうしてもそんな懸念が消えず、高い評価にも関わらず、

長く食指が動きませんでした。












さて、 KSA-100MK2ですが


これの搬入と設置はまた苦労しました。


重量にして46キロ、木箱を含めると50キロを軽く超えています


しかも奥行きが異常に長い!


ラックからはみ出してしまいました・・・・・





何センチあるんだこの奥行きは・・・・・


ラックからはみ出すとか(笑)


計ってみると、62センチもありました。



この手の機器はヒーティング


(性能発揮のため、電源を入れておいたり音を出したり
するウォーミングアップが高性能機器には必要)


なしでは真価を発揮できません。




スピーカーはJBLのホーンスピーカー


ホーンって映画館なんかで使われる、拡声器の傘の部分のようになっている
あのタイプのスピーカーです。


そう、劇場で多くの遠くの観客にも明瞭な音声を飛ばすために
非常に音離れがよい、エネルギー感に満ちた明瞭な音がします。


コンプレッションドライバー +ホーンスピーカー


これはKSA-100と抜群の相性を持っています。


過去に使用、視聴したクレルのアンプで自分でも実証済み、



その第一声、


ぼくは呼吸をするのを忘れた、



JBLのホーンから濃厚な熱気を伴う、


音の洪水として溢れ出てきたその音は、



「なんという・・・・・」



なんという暖かで、かつ明るく濃厚な音色なのだろう?



暖かな音というものは、大事なファクターだ。

それはそのままアーティストの発する熱気、情熱の表現につながるものだから。

KSA-100、本来は低インピーダンス低能率の「ついたて型」スピーカーを鳴らすために

設計されたアンプなのだ。そのためのアンプとして有名で、世間に知られていた。

Apogee、Divaのような


その圧倒的な駆動力はまさに折り紙つきだったわけである

それがなぜか、フランス製Jadisの真空管アンプのような暖かさ
を兼ね備えてしまった。


音色の暖かさだけなら古臭い真空管のアンプがもっとも優れているのである。


しかし、真空管は大パワーを取り出したり、


トルクフルで強烈なスピーカー駆動力、


そして強烈な力感のようなものと両立はできない。


そして、トランジスターのアンプは真空管のような"暖かさ"や"透明感"
はなかなか出せないと思われていた。


Unison ResearchやEarのアンプのような。


ミュージカルフィディリティのアンプも暖かな音の表現で
一世を風靡したが、トランジスターと真空管を組み合わせて、
ハイブリッド化することでその音質を実現させていた。


そう、思われていたんだ。





しばらく聴くうちにドンドン体がノッてくる。



身を乗り出して目を閉じ、視覚からの情報をシャットアウトして
より一層音に集中する。


オーディオファイルの基本姿勢になった。


数多の試聴会がありますが、行きなれない人が見に行くと面白いですよ。
みんな判で押したように目を閉じて眉間に皺を寄せて聞き入っています。



スピーカーから溢れでる濃厚でかつ、暖かな音の洪水

ムワッと漂う、その熱気は物理的な質量をもって、
自身の体を包み込んでいくかのようです。



「力感はかなりある方だ、」


とはいえ、このクラス、またKRELLとしては満足できる水準というだけで、


KRELLlの中期モデルの重厚さ、ハイパワー化で巨大化した筐体からひねり出される、



あの「モンスターたち」のマッシヴなトルク感、

エッジ(音の輪郭)の強調感、音像の彫りの深さ、音の太さには及ばない


当然、近代モデルになって洗練された解像度の高さでも遅れを取っている。


(解像度=音の細やかさ)




筆者は200Sを店頭で視聴して驚愕し、KSA-100Sをかつて所有しました。







ハッキリいってその点でだけ言えば、ずっと中期のKSA-200SやKSA250
らのモデルの方が好みである。


繊細さを併せ持ったKSA200sや100s、その中でもっとも廉価な50sの音質が白眉でした。


力感の表現力と圧倒的な低域パワーではKSA150と250、MDA300ら

が歴代krellでもクラスではベストの存在です。



KSA-100の初代は、これらのアンプと比較すると、


逆に言えば強調感がなく、自然な感じの音である。



音の風合いがよく、シルキー(絹のような)なやわらかな肌触り、

質感を思わせる。


これはこれで素晴らしいが、やはり中期のモデルの方が好みである。


ガツンとくる、それでいて熱い音には格別の魅力がある。



krellはシリーズ100S、200Sらの後継の、


FPBシリーズに変わったとき完全に終わったという気がする。


真空管の暖かさが消えて、後期レビンソンと大差の無い
味気の無い音がする・・・・・



KRELLのブログ



さて、この初代KSA-100は解像度もこのクラス(定価110万)にしては高いほうではない


だか、それは年代を考えればあたり前だと思うし、
むしろ骨董品といってもいいような30年前のアンプでこれだけ不満のない、


高いHiFi水準を満たす鮮度の高い音が聴けるとは思わなかった。


高解像度と躍動感、温度(暖かさ)は両立し難い要素なのである。


鮮烈さや解像度だけなら同年代にもThreshold などの、

この年代とは思えないような鮮烈なサウンドを聴かせるものはある。








しかし、




そんな些細な分析的なことはどうでもよくなるような




この圧倒的な、




素晴らしい音楽性は一体なんだ!




聞き古したヴォーカル曲を今度は目を見開きながら聞き入った


目が開いていても問題が無いくらい音に集中してしまっている。


背筋にゾクゾクと鳥肌が立つ感覚がずっと止まらない

今まで聞いたことがあるどんなオーディオ機器とも比較にならないくらい。




私は心底深い息を吐き、惚れ惚れとしてしまった。


まさに付き合い始めた恋人と過ごす時間のような地に足が着かない気持ち、

高揚感、幸福感を感じてしまっています。







スピーカーからは音楽が楽しく、生き生きとして鳴り、そして歌う

いままで聴いてきたもの(CD)とはまるで別物のようです。


「これが聞き古した同じCDなのだろうか!?」


圧巻のサウンドステージが目の前に展開されている。


三次元的な立体感の伴う、音の煌き、(きらめき)


中音域、高音域のこの音の美しさは・・・・・・格別の魅力がある。


とにかく、特筆すべきなのは中高域の無類の瑞々しさにある。


まさに濡れるような艶のある音がするのである。


燃えるような高揚感、 弾けるような躍動感、

透徹し、澄み切った、磨き抜かれた、

張りつめたような、 無類の美しさを持つ高音域、

それは、とても煌びやかで鮮烈で、

生きる喜びを高らかに歌うような、

"陽性のエナジー"を高らかに空間に放出します。



気が付けば、ぼくの瞳は涙でうるんでいました





コンプレッションドライバー +ホーンスピーカー を鳴らすには・・


これは本当に最高です・・・・!






KRELLのブログ




拙宅のリファレンス・スピーカーはJBL S5500



それはまるでアーティストがライブ感が間近に伝わる、

小ホールで実際に演奏しており、それを眼前でみて、


アーティストのシャウトが、


その口角が、


立ち上る熱気が、


手を伸ばせば掴めるような。


唾がかかるぐらいの間近で体験しているような臨場感を伴って再現されている。


圧倒的に楽しいんです。


涙が流れるほど、同じ音楽が他のアンプとは音楽が違って聞こえます。



これはもう、



実際聞かなければ絶対分らない。言葉では表現不能。




素晴らしいなんていう表現ではまったく足りない。





気が付けば数時間が経過している。








このアンプから捻り出される音は


その熱気とライブ感は、


ハンパなものではない。


いままでこれに近いと感じたものすら聞いた事がない。

まさに"別格"なのである。


兎に角凄かった。


もし、聴く機会があるのなら、好きなアーティストの
できればライブ収録のCDを大音量で聴いてみて欲しい。

きっとビックリしますから、


最後は、この一文で締めたいと思う。


KSA-100の設計者であり、


クレルの総帥、Dan D'Agostino(ダン・ダゴスティーノ)は、こんなことをいっている(意訳です)



KRELLのブログ



「クレルのすべての製品は、科学と芸術が渾然一体となった特別な存在です。録音作品というものは、その本来の性格からして、熱情(情念)の産物です。したがって、私の最終目標は、録音作品にこめられた熱情(情念)を、みなさんの部屋で再生することなのです。


(Every Krell component is a unique synthesis of science and art. Recorded performances are, by their very nature, works born of . My passion goal is to bring that passion to life in your home.)」





"熱情 passion "



その単語には、なぜか僕にとって格別の思い入れと
感慨を感じさせる。


ダニエル・ダゴスティーノのこの一見、大言壮語にも思える
言葉は全てが100%彼の真意、


そして紛れも無い"真実"なのである。


それだけの説得力を持つ"無限の力"が彼のデザインしたコンポーネントからは
伝わってくる。



KRELLとは="無限の力"の意味



KRELLのブログ


(クレル社長、ダン・ダゴスティーノの自宅)