KRELL KSA50の内部解説 | 禁断のKRELL

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拙宅のKRELL KSA50をクリーニングしてみました。



シリアルナンバーは385番、音質劣化を生み出す代わりに
安全性と使いやすさが向上したリレーが搭載されていない時代のものです。
ちなみに過去に掲載したインプレッションは全てこの個体から生まれました。








まずはコンストラクションの全容から、オリジナルモデル後期型、
トロイダルトランス搭載モデルです。安全性の為、リレーを搭載したことで
音が変わってしまった事は事実で、あまり頻繁にモデル名を変えない
米国製にありながら型番がmkⅡになったのはそれが理由だと思います。
創業者はリレーを付けたくはなかったでしょうが、市場に出た後
購入者が正しいアンプの扱い方を知らずに使ってトラブルを起こし、
クレームが多かった為の仕様変更ではないだろうかと推察します。
リレー無しは電源OFF後もしばらくSPから音楽が流れ続けたりと、
洗練されていない印象も感じました。








ファンの羽の部分にホコリが溜まりやすいので丁寧にふき取ります。

故障しなくても定期的に蓋を開けてホコリを取り除いてください。
電気製品はホコリが大敵です。前回の掃除から2年が経過して
いましたが、あまり掃除をしないホコリっぽい筆者の自室においても
それほどコンストラクション内部には埃が溜まっていませんでした。
使用頻度によりますが、KSA50なら3年に一度くらいの頻度でも
問題ないかも知れませんね。掃除にはエアーダスターを使います。
スプレーのエアでホコリを飛ばします。(ラック内のホコリが入りにくい
設置でした)電気製品にはホコリとタバコの煙が大敵ですが、筆者は
タバコは吸いません。パソコンなども年に一度は掃除してあげると、
不良品でなければ10年程度は問題なく使えます。パソコンは高性能な
グラフィックボードを搭載したモデルは発熱と消費電力が凄いですから、
ホコリがたまると、ファンによる排熱が機能せず、短命に終わります
10年持つパソコンもタバコを吸い放題、ホコリだらけの部屋で使えば
4年くらいで壊れるのはこの為です。ただし、静電気によるショックで
壊れることがありますから、湿度の高い梅雨時にでも行うと良いでしょう。






エアーダスターでホコリを吹き飛ばしました。

30年以上前のモデルですが、コンストラクションの内部観は大変綺麗、
写真のトロイダルトランスは小振りですが、EIコアトランスはかなり大きく、
この空間を埋め尽くすほど巨大です。シリアル300番台と400番台の
合計三台のKSA50を所有したことがありますが、シリアル140番台に
EIコアのモデルが存在したのは確認しました。140番より若いナンバーの
ものはすべてEIコアか?と問われると、確実にそうだとは言えないのが、
ダン・ダゴスティーノというラテン人の製品作りだと思います。








モトローラ特注の巨大な青色ブロックコンデンサー、
これだけ大きな容量のものは容量抜けを起こしにくく
経年による交換を心配する必要はないでしょう。
第一音が変わってしまいますから!


巨大な青色ブロックコンデンサーに関しては
C/40000μ75V(スプラグ製) というモデルのコンデンサーに性能のよい
代替品がありますが、4本全て交換すると9万円と非常に高価です。

その他にパワートランジスターなどを交換すると
Vishay製の最高級品パーツに差し替えたとしても、
部品代の総額は大体2万円以下で収まると思います。
エンジニアの工賃を含めると、メンテ費用は3万から6万程度が相場。







基盤の腐食が見られます。対策としては除湿機を使って
リスニングルームのエアコンディショニングを管理すると良いでしょう



パワートランジスターはすべてクレル特注のオリジナル選別品です。
クレルに詳しいマニアの人が中古の初期クレルについて拘るのも
このパワートランジスターがオリジナルかどうかについてです。

ただし、年代的に古いオリジナル部品は発熱で消耗が激しく、特にKMA200
やKSA100などの大規模モデルは発熱量も大きく、仮にまだ動作していても、
測定してみたら特性がダメになっているケースがとても多いです。
オリジナルを重視し、壊れた一部だけ交換するというアプローチには個人的に
賛成できません。他の部品も寿命となって、早晩壊れる可能性が高いですし、
既に一部分は交換されているのですから。