ベランダの小さなプランターに蒔いた種に
間引きの時期が来た。

 

弱いもの、カタチの悪いもの
生育のよくないもの、
反対に極端に大きいもの、
そういう芽が間引きの対象となる。

 

※ 間引きとは、植物を栽培する際、苗を密植した状態から、

少数の苗を残して残りを抜いてしまう作業のことである。(wikipediaより)

 

せっかく育ってきた芽を摘み取るのは
とても悲しいし気が重い。

 

でも間引かないと、新芽の根が衝突したり
病気になったりして上手く育たなくなるらしい。

 

プランター全体のことを考えると
全てが枯れてしまうより
元気な芽を優先して弱い芽を摘み取るのが
「正しいやり方」なんだそうだ。

 

なんだそれ
まるで優生思想じゃないか!?

 

でも自然界のルールは
より強いもの、より健康なものが
生き残るようにできている。

 

例えばウミガメは1回の産卵で
120~140個くらい卵を産み落とすけど
子ガメのほとんどは捕食されて
大人に成長することができるのは
5000匹に1匹、0.02%だと聞いた。

 

人間の精子もそう。
壮絶な戦いを勝ち抜いた、運動能力の高い
幸運なただ1個の精子だけが卵子の中へ到達する。
一度に射出される精子の数は数千万~数億個なのに対して
実際に卵子を取り囲むのは数十~数百個。
で、卵子の中に入れるのは、ただ1個。

 

そうやって自然淘汰されるから
人類は生き延びて来られた、と聞いた。

 

じゃあ、もう弱者なんて切り捨てればイイ?

 

いやいや、それは全く違うと
わたしは思う。

 

人間と、他の動植物との違いは
唯一この、弱い仲間を切り捨てないってとこだ。
それこそ、本能以外を司ってる脳の働きだ。

 

おそらく排除されるべき存在の基準が
単に生体としての弱さではなく
その種全体に及ぼす悪影響の有無という
別の意味に変わって行ったんだろうと想像する。

 

そして、そうやって、
動植物界の弱肉強食サイクルから
抜け出せたからこそ人類は、
ここまでの地球の覇者に成れたんだじゃないかと思う。

 

だったらせめて動物らしく、
間引いた芽は全て、食べてしまおう。