待つ犬








昔、そう本当に昔の事。
まだギリシヤに居する前の春、アテネで、イギリス人の写真家に出会った。
ちょいと苦味あるオヤジ・デビット。
宿にいた若い奴らと彼と皆で夕食のウォルタ/散歩に出た。
初めは6~7人だつたが、デビットのオヤジがあらゆる人達に声かけ、話し
まくり気がついたら総勢40人ぐらいの団体さんになっていた。
このオヤジ平気で13ヶ国語ほどペラしたんだ。
魔法使う人見るみたいだったのを覚えている。で、
別れる時フィルムを1本貰った。

帰って現像したら出会い過ごした日々の、あの優しくも喧しい光景と共に
過ごした人達が無防備に写っていた。

思い出の写真を一枚も持していない自分にとっていまだにたった37コマの
思い出となっている写真だ。

その後、アテネに部屋を借り住むようになってからいつものカフェで
コーヒーを飲んでいたら真ん前の席にデビットがいた。

向こうも覚えていたらしくヤイヤイと話し込んだ。
実に色んな事を。だが、話の流れがある境界を越え始めた。

で、唐突に金の話になった。

話の色味が変わった事はわかったのだが、
もう色を触るには塗られすぎていた。

あのフイルム代かもと思い少し用立てた。


だが、何かあったら使いなさいと祖父から貰った米ドルを見つけ見た彼は、
人の手から取り上げた。生暖かい奇妙な感覚を持したまま、
明後日ある銀行の前に3時。と約束し別れた。もう顔も覚えていないが、
逃げ去る様に去って行った彼のあの後ろ姿はまだ鮮明に焼き付いている。


人は変わる。かわり続けている。


デビットが、彼が、良く変わったのか?悪く変わったのか?

それは何ともいえないが。


数日後、彼がアテネを去ると言っていた日の朝、宿泊先と言っていた
ホテルを訪ね聞いてみると、レセプションのギリシャ人のオヤジが、
二日前の朝彼は発ったと言った。

少し箸尾って軽く事情を言って彼のパスポートナンバーを控えさせて
というと、眉間にキリスト/しわ/張り付けて物凄く冷静に「ノー」と言い、
何かあったのか?と聞いてきた。

金をちょと貸していた。と答えた。

「友達だったのか?」
「ともだち?」
「長い友達なのかね?」

瞬間考え込んでいると

「俺にはとても古い友達が一人いるんだが、
奴との間には色々あるが金も貸したり借りたりな。
そうだな、計算したら家が建てれるな。」


「家が建つぐらい?返して貰わないのか?ほしくないの?」

「別に。」

「それで平気なのか?」

「友達だからな」
 
 
その後何回かホテルに顔を出し何杯かコーヒーをご馳走になったが、
デビットの事を忘れてゆくと共に、尋ねなくなっていった。

 
金銭の問題の奥にある本当の問題への原因。


もし親友だとして金を貸しでも彼または彼女自身が本気でその
原因自身を解決しようと自分と関ヶ原しないと, 家が建つ所か、
相手をダメにしてしまう事になる。

とても大事な縁を大切に愛しんで温めていきたい。




>>>>>>>>友達はみな元気ですか?












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