春。
春が近ずいている。
晴れた日の日ざしの中に
確かに優しさが刻まれ始めると
ギリシャの厳しい冬が旅立つ
用意をし始める。
そして、春が顔をだす。
とても短い春の訪れを嬉々に
喜んでいると聞こえて来る。
最近はシャンソンのメロデイーが多いが。
バスの中、トロリーの中
メトロの中、カフェ、道に、
至る所で春の訪れを確かめるように。
それぞれ銘々に違った音を流して。
少しでも温かくなると、人々は外へ外へと
向かい温もりをたっぷりと味わい出す。
日曜日の午後、
バルコニーに出てくつろぐ人たちへ
流しの 音楽隊が空へ向けて
アコ-デイオンやタンバリンを
がちゃがちゃ鳴らしている光景が
至る所で見られる。
親子や兄弟、従兄弟などなど
家族で流している人もいれば、
現役の音楽家もいれば、
ジプシーもいる。難民、異邦人もいる。
本当に心が動き出す程すばらしい
演奏もあり、1回しか耳にして
いないのに今だありありと
記憶しているのもある。
お願いだから速やかに立ち去ってくれ!
ください!というのもある。
なかには、
ハンデイーのカセットデッキを持って
バスにだだっと乗って来て
スイッチをいきなり押し
はやりの歌手の歌をバックに
ものすご~くリズムの音程の
遥か彼方へ己の声をのせ、
最早歌うではなく叫ぶ/がなる!にちかい
行為を披露する少女もいる。
夏も表れる。
1、2度写真を撮ってよ!と
言われたことがある。
**記念写真ではなくプロマイドです。
歌手になるそうです。
まあっt 自由だ!からね>>
>>> そう自由。
エレ-ニは、
もう少女から女性になりつつあるのかな?
場所はさすがに選びつつ
まだ流しているのかな?この春も。
そんなさまざまな音楽隊を見なれた頃
ギリシャの世にも短き春は
すっかり姿を消し、
ギリシャの偉大なる主役/夏が現れる。
そして復活祭が、夏への幕を上げる。
さまざまな国で今、春が訪れる。