冬が好きな理由に

老男たちの何とも言えない
疲れた人間臭さがある。


冬になるとそんな人間臭さが
彼らの過ごしてきた時間と共に
丸まって一気に外に押し出される。


それは、哀愁とも言われるもの
なのかもしれない。


冬の地中海のとある小さな港町
雨の中寒さに覆われていた。
何もかもがである。冷たい雨は
朝からただ淡々黙々と降り続き
ぴちゃぴちゃと冷気の親と
なっていた。



人間も黙々とそれぞれの日々の
目的を果たす為に歩いていた。


よそ者は誰とも眼を合わす事のない
寒い冬の1日である。


仕事帰りか仕事はないのか詳細
不明な老男たちが間々に町中を
迂路ついていた。



冬の光景は実に人間本来の
生活の体臭が、静かに熱気を
むんむんさせ、町の至る所で
寒さを通過させているのである。


冬が好きである。
静かにすべてが愛せる時間である。


被写体と覗き穴のこちらとに
はっきりくっきりと距離感がでる。
そして,その間には誰人も
入り込む間がないのである。





冬の間で自分の人間臭さも
息も、真っ白く吐き出される


それが冬である。













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