制作していると必ず、視界に
「あ」は、居る。のである。
「あ」と初めての冬。
まだ、部屋はガランとしていて、
何もない時代であった。
イーゼル変わりに椅子を使っていたのだが
「あ」はスリスリと微妙に、椅子を押したり
気に入りの青ヒモを、グチャグチャと絡ませたり
いつも傍に居て何をしているのか
チェックされていた。
暗室の時も終わる迄、ずっといつもの
椅子にウトウトされながら居るのである。
いつもこちらの世界の端っこに?
ちょこんと幅を利かせて居てくれる
「あ」の存在は、自分が思っている
以上に、想像を遥かに超えて
でかい・大きい・重要なのであろう。
制作をしている間に、ふっと
「あ」の姿を確認するのが
もはや癖になっているのである。