振り仰いだそこにはダーク嘉月2人に負けないダークな未緒が降臨していた。
ひいぃっっ!だ、誰か助けてぇ~!

「そういえば…バレンタインデーの少し後、変に機嫌が良かったのよ。
その前、物凄く機嫌が悪かったから、浮き沈みが激しいとは思ってたんだけど、まさかそんな真似してたとは思ってもみなかったわ…!
乙女の唇、強引に奪うだなんて!
しかも押し込んだチョコレートを取り返す?
いくら好きでもやっていい事じゃないわっ!」

怒りに震える春樹の横で、僕はこれから起こるだろう不吉な予感に、恐怖で震えていた。
だけど、せめて最悪の事態だけは避けなくては!

「う、うん。確かにそうだよね。
でも京子さん、ほんとによく切り換えてくれたんだ。
やっぱり敦賀君がいてくれて良かった。
彼が居なかったら、京子さんもしばらく立ち直れなかったんじゃないかな。
敦賀君、本当に彼女を大切に思ってるみたいだし。」

「…そうなの?」

さっきまで怪気炎を吐いていたとは思えない程、毒気の抜けた声で春樹が聞いてきた。
…何とかごまかしたい!

「うん、始めに言ったじゃないか。
京子さんを挟んで敦賀君と不破君が三角関係なんじゃないかって。
あれは僕から見たら、だけどね。
京子さんは敦賀君の事、尊敬の意味を含めて好意を持ってる。
敦賀君も京子さんを可愛い後輩って意味を越えて好意を持ってると思う。
不破君はそんな京子さんが気になって、同時に京子さんの信頼を勝ち得ている敦賀君が気に入らない。
京子さんは不破君と幼なじみ…これはさっき春樹が教えてくれた事だけど、京子さんとしてはその事実さえ嫌がってるみたいだよね。
会えばあの礼儀正しい京子さんがすぐに噛み付くくらいだから。
そんな京子さんが被害に遭った訳だけど、不破君に何か仕返しするのは京子さんの権利であって、僕らが手を出す権利はないと思うんだ。
だから…。」

周囲の空気が鎮まっていくのを肌で感じながら、僕は間接的な意趣返しの方法を提案した。




緒方監督、ダークな3人を上手くなだめる事ができるか?の回です。
それにしても長すぎるだろう、自分っ!
読んで下さってる皆さま、もう少しお付き合い下さい。m(__)m