コミックス24巻を今更ながら読み返していて、出来上がった話です。


ま、いわばACT.149の派生ですね。
こういう展開でもよかったなぁ……。
今更話なので要らないっておっしゃる方はご遠慮下さいね。






想いの違いとキスの違い。


「…んうっ…!!」


突然唇を奪われて、キョーコは何が起きたか直ぐには理解出来なかった。
大きな手と躯で自分を抑え込み、逃げる余地すら与えないこの男は、本当に自分が尊敬してやまない大先輩なのだろうか。


あまりに苦しくて、思わず開いてしまった口に、柔らかくも意思を持ったものが入り込むのに時間は掛からなかった。
押し返そうにも舌を搦め捕られて、頭がぼうっとしてくる。


されていることは撮影前にあの馬鹿野郎にされたアリクイのエサやりと同じ筈なのに、まるで違うものに思える…。


(や…。わ…たし…なんにも…考え…ら…れな…。)


いつの間にかキョーコは蓮の背に手を回し、縋り付いてキスに夢中になっていた。
ようやく離された唇なのに、もっとしていたいと思う自分に、キョーコは驚きを隠せなかった。


「…あ…んっ。」


握りしめたシャツから手を離す事なく、たった今まで自分の唇を奪っていた先輩を見上げると、そこにはキョーコの苦手な夜の帝王がいた。


「…その顔は反則だよ?
先に進みたくなるからね。
…嫌じゃないの…?
何だかもっとして欲しいって、視線でねだられてるみたいだよ…。」


思考のぼやけた、感情だけの頭で、真正直に言葉を口にした。


「嫌な…んかじゃあり…ません。
あの馬鹿がしたのは気持ち悪いだけのただの嫌がらせだって判りました。
でも…敦賀さんのキスは…しているうちに頭が真っ白になっちゃって…気持ちいいから…もっとしていたい気分になっちゃいます。」


慣れてらっしゃるから上手なんですね、と変に納得したキョーコに静かな怒りが迫っていた。








すみません、何話か続くかもしれません。<(__)>