すっかり社長紹介でなくなったインタビューだったが、ローリィは気に留めることもなくリポーターを自分のペースに持ち込んだ。


「あの子達はラブミー部を卒業するまで事務所のバックアップは無しという事になっているんだが、それでもあれだけの輝きを放つ宝石達だ。
一刻も早く愛を見つけて、更なる輝きを放って欲しいんだよ!!」


リポーターも何とか軌道修正を図ろうとするが、ローリィには敵わない。


「ラブミー部を卒業させる事で事務所がバックアップをする、売れれば会社の利益に繋がる、とそういう事ですね!?」


「何を言うのかね!?
芸能人たるもの、ファンに愛され、またファンを愛してこそ更なる輝きを放つ宝石になれるというものだ!!
そして人は愛あっての生き物だ!!」


「で、では社長さん、LMEに於いての企業理念は…?」


「愛だっ!!」


即答するローリィを止められる強者は、その場には最早存在しなかった。


「俺は運と勘の良さで此処まで来たと自負しているんだ。
世界は愛に満ちて然るべきなのだよ!!
おぉ、そうだ!!
いっそのことラブミー部のあの子達に見合い話を用意しようか!?
結婚となれば相手を愛し、また愛される喜びを知る事になる!!
君たち、誰か良い相手を見繕ってくれないかね!?
いや、あの子達に相応しい相手ならやはり私自ら見繕ってやらねばなるまい!!」


誰も止められないと思ったローリィの暴走を、さりげなく呆気なく止めたのは見慣れた褐色の肌を持つ執事だった。


「…社長、これ以上白熱なさいますと取材そのものが無かった事になるのでは?」


その言葉にピタリと動きを止めたローリィは、些か不満げな様子ではあったがどうにか本来の番組の主旨に添った話をし始めたのだった。


それからはごく普通に、会社を立ち上げてからの紆余曲折や育て上げた俳優や歌手、タレントにお笑い芸人等々の話で盛り上がり、最後にプレゼントの告知があって和やかに番組が締め括られた。



…和やかに行かなくなった男が此処に居た。


地獄の底から響いてくるかの様な底冷えのする声で、マネージャーにスケジュールの確認と追加を申し出た。


「…社さん、仕事が終わり次第会えるように社長にアポ入れておいて下さい。
それからこの後ですが…今日のこれからのスケジュールを教えて下さい。
…何て事をしてくれるんですかね…あのひとは…。」


下手に近付くと底無し沼に引き摺り込まれそうな恐怖感を感じ、社は半泣きになりながら必死にスケジュール調整を遣り繰りし、何とか22時上がりにしたのだった。









時間ばっか掛かって大して話が進んでませんな…。

すみませんケロちゃんさん。m(__)m