さぁ、アメンバー500人突破記念で頂きました!!

我らが罠張りマスター、魔人seiさんからのネタでございます!



仮題でしたのでちょっぴり変更で行きます♪











幼馴染みというものは --前編--




「ねぇ、不破君・・・それって、最上さんのことかな?」



M製菓の真山、そう名乗った男が口にした名前に、俺はほんの数秒だが言葉を返すことが出来ずに口篭った。



この男、今何て言った!?



「不破くん、それって最上キョーコさんの事でしょう?」



…また出た。



「……何で?
何でアンタがキョーコを知ってるんだよ。」



謎は直ぐに解けた。


スポンサーの社員相手なのについ出てしまった普段使いの口調にも相手は気にしなかったらしい。



「気付かないかな。
  …俺、君とずっと同じ幼稚園だし、小中学校もずっと一緒だったんだけど。
まぁ身体弱かったし、学校しょっちゅう休んでてなかなか行けなかったし、そのせいで2年も遅れて君らと同級生してたくらいだから知らないだろうけどさ。
  あ、ちなみにそのあと猛勉強して海外留学の上スキップして学校卒業してるから結局年より上なトコまでいったけど。
  君と最上さんの関係ってさ、地元じゃ凄く有名だったの、知らなかった?」



事の起こりは新作菓子のCMに俺が起用され、今日がその撮影日だった事だ。



挨拶に来た菓子メーカーの若い男は真山と名乗り、前期のCMに出演していた同じ事務所のタレントと一緒に挨拶を受けた。



そんな時、偶々共演タレントの久我に掛かってきた電話。



幼馴染みの女から忘れ物を家に置き忘れているという連絡を受けたという久我と、それを聞いた俺が忘れ物なんか幼馴染みの女に命令して届けさせればいいと話したところでそれを聞いた周囲が急に俺を変な目で見始めた。



「有名って…。」



何が有名なのかと聞き返した俺に、真山は本当に変わってないんだなと呆れた様子を見せた。



「確かに君たちは立場としては幼馴染みという位置付けになるんだろうけどさ、二人とも幼馴染みの意味を完全に履き違えてたから有名だったんだよ。」



幼馴染みの意味?


知るかそんなの。


第一アイツは…キョーコは最近全然俺の言うことなんか聞きゃしない!!


キョーコの癖に!!



クライアントである企業側の社員である真山に同郷の気安さが見えたせいで、俺は本音を晒していた。



「はぁ?
幼馴染みの意味って何だよ。
幼馴染みってのは俺が自由に使っていいモンだろが。
  使おうが棄てようが俺の自由だろ?」



尤も最近キョーコのヤツ、俺の呼び出しを無視しやがって頭きてんだけどな、と続けると周囲はますます解らないという様子になった。



「…あのさ不破くん?
その定義でいけば、幼馴染みってのはお互いに相手を使っていいモノってことにならない?
君って昔、最上さん…キョーコちゃんを使うことはあっても、君がキョーコちゃんに使われてたなんて一度たりとも無かったと思うんだけど…。」



知ってる限りだけども、確か宿題押し付けたりいろいろ横取りしたりイタズラの犯人の濡れ衣着せたりしてたよね、と続ける真山の言葉に俺は更に首を傾げた。


キョーコがこの俺を使う?

あり得ない。


俺が理解できない真山の言いようを補足するように今度は久我が口を開いた。



「不破さん、俺が知ってる幼馴染みってのは、近所で子供時代を一緒に過ごした、気心の知れた信頼関係のある、仲の良い友達同士っていうものなんだけど?
君の言ってる幼馴染みとあまりにも違う気がするけど…。
もしかして君って、その辺勘違いしてないかな?」



何を言われたのかと首を傾げながら浴びせられる視線に目を向けると、打ち合わせしていた監督も真山も久我も、みんな揃って宇宙人でも見るような目で俺を見て…。



「「「…不破くん、君、絶対に変。」」」



全員が全員、まるで練習したかのように一字一句違わず、タイミングもピッタリバッチリ動きまでビシリと揃えて俺に言い放った。



「~~~っ、なっ、何が変なんだよっ!!
アイツは俺のモンだから、アイツをどう使おうが俺の勝手なんだよ!!」



「うわ~、言い切った。
人のことモノ扱いって勘違いにも程があるでしょ。」



さっきのセリフまで口を開かずただ話を聞くに留めていた監督が如何にも呆れましたという風情で首を振った。



「そうだ不破さん、最近その彼女、君の言うこと聞かなくなったって言ったよね?
それって彼女が自分の立場が普通の幼馴染みじゃあり得ないって気付いたからじゃない?」



久我の言葉に俺は最近のキョーコの言動を思い返してみた。



【何で私がアンタの言うこと聞かなくっちゃならないのよ!!
  アンタはただの消し去りたい因縁と腐れ縁の幼馴染みでしかないんだからねっ!!
  いい加減にしなさいよ!!】



…キョーコの心情なんて知るもんか。


アイツは俺のモンで、言うこと聞くのが当たり前なんだから。











前後編で何とか納めたいです!!


………頑張るぞい。(;^_^A


……終わればいいなぁ…。