第2話 /第一章「トモダチ」 | 泡姫物語2*ソープ嬢の恋*

第2話 /第一章「トモダチ」

さすがに、その場で出るわけにはいかず、


アタシは、家に帰るとすぐに電話をかけなおす。



「もしもし。」



少し緊張してかけた電話に、



「もしもし~モモカちゃん!久しぶり~」



前と変わらない、彼女の明るい声。




アタシは、そこで、彼女はやっていない。


と確信した。




「ごめんね~メール返せなくて~

お店めんどくさくなってやめちゃったんだ~

モモカちゃんは頑張ってるんだね~」




同じ戦場で戦っていた友達との会話は


心地がいい。




盗難事件の話はできないまま、



ガールズトークは、2時間経過する。




「ねえ、もしよかったら、明日出勤前にお茶しない?」




明け方になりそうなのを察してか、


あみちゃんが言う。



アタシは、シゴトの前に人に会うと、


出勤しなくなる癖がある。


でも、久しぶりに彼女と会えるなら・・・


と、その誘いを受けた。




盗難事件のこと、話してみようか?


でも、関係ないんだから、話す必要はないか・・・



少しだけ気にしながら、


アタシは次の日、待ち合わせたファミレスへと向かった。




早く出てきたせいか、


彼女はまだ来ていない。


先に席について、メニューを広げた。




ブーブーブー



テーブルに置いた携帯が鳴り出す。




椅子から立ち上がりながら、




「もしもーし」




と電話に出ると、




ちょうど入り口のところで、




「ごめんね~」




とあみちゃんが手を振っている。





その彼女の横には・・・



見知らぬ男性・・・




誰だろう・・・?




彼女は、その男性と一緒にアタシの所まで来て、



「ごめんね~彼氏なの~」



と言った。




「堤です。」



と彼が、手を差し出す。




その差し出された手の意味が分からずに、


戸惑うアタシ。




「もう~ツーちゃんすぐ握手求めるんだから~

やめなよ~モモカちゃんびっくりしてるじゃん~」




あみちゃんが言う。




「あ・・・ごめんなさい。握手ですね。」



と謝ると、



「はじめまして。」



と堤さんは再度、握手を求めてきた。




アタシは、その手を握り、


軽くお辞儀をする。




そして、彼女達の足元に視線を落とした。






え・・・・・?







「ツーちゃん奥入って~」



と、先に席を勧めるあみちゃん。





その間。


アタシは、彼女の足元から、


目が離せなかった・・・・





何で?



どうしてだろう?





その場から動けない・・・




不思議そうに、アタシを見るあみちゃん。






昨日、盗まれたはずの、


アタシのサンダル。




彼女が履いていたのは、


まさにそれだったのだ・・・・