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ここまで、「現役生」の受験後の仮面浪人に対する個人的意見を書かせてもらったあと、「薬学部生」「看護学部生」さんで仮面浪人してきた人たちのことを書かせてもらいました。

 

他には、一浪の末に歯学部に入学して仮面浪人し医学部に合格された人のブログも拝読してました。

 

 

 

「仮面浪人は一般的に、医学科に合格できる割合は低くなる」と言われる中で、他にも仮面浪人をしている受験生さんご本人が書いていらっしゃるブログをいくつか拝読してきた中で、

 

仮面しても医学科に合格できた人たちの共通項に私は気が付きました。

 

 

それは以下のようなこと

 

 

ほぼ全員が、共通テストに苦手意識をもっていたりしてあと一歩のところで医学部に届かないという惜しいところまでいっていた段階で、仮面浪人に踏み切っていたという点です。

 

要は、仮面浪人するにも「合格まであと一歩なんだけど・・」という成績要件としての資格がいるということです。

 

 

 

■もう一つはメンタル面の共通点

 

受験とは関係ないと思うかもしれませんが、彼、彼女らには周りに対する感謝の気持ちがあったということです。

 

ブログからにじみ出てくる人柄において、人格的に優れているのです。

 

そして、成績の向上にとって不可欠な素直さと、意志を貫く頑固さの両方を持ち合わせていたということです。

 

 

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【「夢」と「執着」】

 

上に書いた頑固さについてもう少し詳しく書いてみます。

 

 

多浪で医学科に合格していく人や、周りに流され失敗率の高い仮面浪人をして医学科に合格していく人たちには、医師になりたいという「夢」があります。

 

けれど、「夢」って簡単に口に出して言ってしまえる言葉です。

 

 

保護者様はよく言います。「うちの子の夢は小さい時から医者になることでした」と・・

 

 

ところが、医学部受験で合格する人たち全員が「医師になる夢」を幼少期から持っていたか?というとそんなことは全然ありません。

 

うちの次男もそうでした。

中学時代に書いた将来なりたい夢を絵にする美術の授業では社会科教師になって教壇で教えている絵を描いてました。

 

高1までは工学部建築科もいいな・・とか、秋田県の国際教養大学にも関心を見せてました。

 

 

そんな息子があるときから医学部受験すると言い出したのですが、医学部受験を考える中でも、そこまで執着はなく、進路選択にまだぶれてはいたのだろうと思います。

 

 

高2のときに訪れた信州大学医学部の説明会の帰路の電車の中で知り合った高3女子と息子が2人並んで座ったときに、

 

上記のように「進路に色々迷う」という話しを息子がその女生徒にしたら

 

「医学部受験するなら、ぶれていたら難しいと思うよ!」


と、その1学年上の女子から、息子はカツを入れられたのでした。

 

 

彼女の真意は、

 

医学部受験は難しいから、将来の「夢」という進路選択にぶれていたら、成績次第で医学部よりは入学しやすい他の進路に「夢」を移してしまいがちになるから初志貫徹することが困難になる・・

 

ということを示唆していたのだと思います。

 

 

その出会いをきっかけに、息子は医学部一本でいこうとぶれない決心を固めたようでした。

 

 

 

高2だった息子は「受験頑張ってください」と一期一会の高3の彼女にご挨拶をし、彼女とそのお母様とお別れした後、息子は帰路につく道中の乗り換えた電車の中で、

 

「かつを入れられた。いい出会いだった」

 

というような趣旨のことを私に語ってくれたのでした。

 

 

 

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今年の受験生の話に戻ります。

 

失礼なことを書いてしまい申し訳ありませんが、

今年現役の共通テストの目標が700点で、実際取った得点は600点だと、もしかしたら一浪してもまだ共通テストの得点が医学部受験の土俵に届かないかもしれません。

 

 

その場合、更に2浪へと突入するのか?

もうこれ以上の浪人は辛すぎると他学部への転向をしていくのかは、

 

「夢」を諦めるかどうかではなく、最後の分岐点は「執着」を持てるかどうかによって進路が分かれていく気が私はするのです。

 

 

 

「夢」は変化してもおかしくないものです。

 

 

 

次男は、現役と1浪時共に非医学部の受験はしませんでした。そして全滅だったら2浪する覚悟を持ってました。

 

1浪した息子にとっての医学部受験は、小さいときからの「夢」でもなんでもなく、「執着」でした。

 

 

建築学科、国際系、共に息子にとって色あせていたわけでもなく、ただ単に医学部受験と気持ちを固めたらなら、息子はそこに「執着」したのです。

 

 

勿論、医学部でなくても、本当はその人にあった進路は他にあるのかもしれない。

 

他学部に転向したとしても「塞翁が馬」という言葉通りに、ご本人が人生を閉じる瞬間までは、受験時の進路選択の是非は本人にしか分からないものです。

 

 

他学部への転向はその人の貴重な選択であってそれはそれで全然いいと思うのです。

 

 

 

ただ私が今回のブログで書きたかったのは、“医師への「夢」を持つ” “夢を諦める” “夢は変わる” というように、

 

「夢」は簡単に使える言葉である一方で、

 

夢よりももっと強固で、一見マイナスイメージがある「執着」が、多浪や仮面浪人して医学部受験に合格していく人たちの共通項の一つであるという、当たり前のことが言いたかっただけなのです。

 

 

 

1浪で叶わなければ2浪、2浪で叶わなければ3浪、ましてや4浪、5浪と医学部受験を続ける人は、他者からは多少、こじらせ系の後に引けない歪んだものに見えるかもしれませんが、

 

「執着」というくらいの強い気持ちでないと、浪人のつらさに耐えかねて本人も医学部受験を諦めてしまいますし、

 

親御さんは更に先が見えない不安に本人以上に押しつぶされて他への道をお子さんに勧めてしまうのだろうと思います。

 

 

 

そういう意味では、医学部受験1本で多浪を続けるご本人だけでなく、どれだけ辛くても、4浪、5浪のお子さんを見守る親御さんのメンタルは、やはり良い意味で強靭なのだと思いますし、同じ親として尊敬もします。

 

 

 

 (参考)