2013年春アニメもいよいよ最終回が近づいて来ました。私はラインナップを観て非常に期待したのですが、正直言って自分の中では期待は裏切られたというのが率直な感想です。唯一自分の中で素晴らしいと思ったのが、39年前に放送されリメイク作品として復活した宇宙戦艦ヤマト2199でした。そのヤマトの第6章が先週の土曜日から劇場公開され、年配の旧ヤマトファンを中心にテレビ放送観てファンになった若い人の姿もあり、アニメの面白さには、年月は関係ないのだと実感しました。



 今回の第6章の見どころは、舞台挨拶のニュースでも語られていましたが、イスカンダルに向かうヤマトと対抗するガミラス艦隊との攻防です。とりわけ、指揮官の沖田艦長とドメル艦長の息詰まる攻防は手に汗握りました。舞台挨拶でも沖田役の菅生隆之さんとドメル役の大塚明夫さんは、男と男の戦いと評していました。互いに認め合いながらも敗者は去らなければならない。戦いの悲しさを思い知らされたヤマトで屈指の名シーンだったと思いました。



 私は本当に凄い作品にめぐり合えたと思って、興奮と余韻を持ちつつ帰宅しました。その帰宅途中、ふと思ったのです。自分の中で心揺さぶる作品に出会っていないと。つまり、現在のアニメ放送の主流である深夜アニメの魅力が失われているといるのではないでしょうか?深夜アニメ放送が開始されて15年以上経過していますが、10年代に入って本当につまらなさと物足りなさを感じているのです。




 いろいろな要素があると思いますが、最大の原因を自分なり考えてみるとビジネスを優先した安直なアニメ化作品が増え続けている事だと思います。別に原作を批判しているわけではありません。アニメ化する価値があるのかと思わせる作品が多すぎると言いたいのです。下手な鉄砲数撃ちゃ当たるじゃないですけど、たまたま売れた作品が原作を含めて売上を伸ばし、売れなかった作品は存在しなかったかのように消え去る。



 だから、5年間その作品のファンであり続けるのが難しくなっていると感じます。私は放送が終わって何年経っても本当にその作品に感動したり面白さを感じているなら、ずっとその作品を愛しているはずです。しかし、そういう作品はどんどん少なくなっている。その反対が宇宙戦艦ヤマトであり、放送開始から39年経過していても根強いファンの支持を集めているのです。



 ただ、現状のアニメビジネスはどんどん作品を制作して、Blu-Ray・DVDを販売して利益を確保するシステムになっています。大衆受けではなく、オタク向けにヒットするような原作を選び、結果として3年経過したら誰も覚えていないような悲しい作品が生まれてしまう。そんな残念な現状があるのです。声優もビジュアルや二次的なビジネスが成功すればいいと思うようなキャスティングが目に付きます。



 例えばけいおん!は、キャラの可愛さと楽器のリアリティがマッチし、現実のヘビー差とは遠藤異世界感が受けてヒットしました。しかし、キャラクターの配役を見ると新人をねじ込んだだけとしか思えませんでしたし、昨日行われたイベントもラブライブのライブに話題を奪われ注目度は低かったです。わずか3年しか経過していないのに・・・・。ヤマトの熱気とはあまりに対照的だなと思いました。



 勿論、けいおん!をずっと愛して今でも大好きという人もいるでしょうけど、すぐに新しい作品に心変わりするのは、やっぱり心揺さぶる作品が減っている。ずっとこの作品を愛し続けたいと思うことが少なくなっているのではないでしょうか。その原因はキャラクター構成にあると思います。高校生だけの狭いコミュニティーにおける物語やどこかで見た事があると思わせるストーリー展開。実力よりもビジネス優先のキャスティングです。



 タイトルが変わっても内容は変わらない。お店の名前を変えて出すものは同じ料理店のような作品ばかりで、キャスティングも他作品のキャラクターが受けて起用しているだけ。本当にその人が使いたいから使うわけではない。しかも、放送期間はわずか1クール。そんな作品ばかりだと当然ファンもおなか一杯になるし飽きてしまう。心を揺さぶる作品なんて出てくる方が難しいです。



 しかし、そんな中でも素晴らしい作品はある訳です。それは映画化した作品です。多くの人の支持を集めなければ映画化はありません。つまり、映画化した作品はファンの共感を得た作品であり、より多くの人に観て欲しいと意図があるはず。確かにキャラデザやしゃべり方は大衆受けはしないかもしれない。しかし、心揺さぶる作品の増加はアニメから離れた人達に対し、宮崎アニメだけではない日本アニメの魅力を伝えてくれると信じています。ヤマトはその1つの例であり、もっとそういう作品が増えてくれる事を祈っています。