劇場版魔法少女まどか☆マギカ新編叛逆の物語は、上映4週目になっても勢いが衰えず、今週も興行収入第4位をキープし、来場者100万人興行収入は15億円を突破しました。また、来年には映画化が決定しているガールズ&パンツァーの舞台となった茨城県大洗町で開催されたアンコウ祭りには、約10万人が来場しました。ガルパン放送前には3万人だったのが倍以上の来場者となりました。



 この2作品の共通点はオリジナルアニメである事はご存知だと思います。では、オリジナルアニメは今期もキルキラルが放送されていますが、ネットでは殆ど話題になっておらず、完全にまどマギの劇場版に話題を奪われています。そこで私はオリジナルアニメがヒットする要因と原作のあるアニメがヒットする要因を自分なりに発見しました。アニヲタ層中心の特定多数のファンの心をひきつける為に必要なことです。



 オリジナルアニメにおけるヒットする作品の共通点をキーワードであらわすと「主体性」であると思います。言い換えれば、放送された作品において視聴者が独自に考察したり、二次創作したり、聖地巡礼するなど、自らが行動し楽しめる余地があるかどうか。これがポイントだと思いました。勿論、ストーリーやキャラクターも大切ですが、これらはあくまでも前提条件です。まず作品が面白くなければ、興味も何もありません。実はここが一番難しいのですが・・・



 作品に興味を持ち、自分ならこうしたい!キャラクターについて自分ならこう考える!様々な考察や意見などをブログやツイッターなどで語る。今はネットによる情報伝達が当たり前ですから、多ければ多いほど「この作品は注目されている、面白そうだじゃあ見てみよう。」そう思う人が増えると思います。しかし、物語が完結してこれで終わりと思わせえては駄目で、今後どうなるのだろうか?続きが早く観たいなどとファンに考えさせたり興味を持ち続けてもらうような「余地」を作る必要があります。アニヲタは興味を持てば持つほど、どんどん深くなっていく、オリジナルアニメの魅力を活かしています。



 特定の地域を舞台にした作品では、いかにディテールにこだわるかが重要なポイントだと思いました。地元の人なら、ああここ知ってるよ。いつもここ使っているなあと思わせたり、知らない人ならここどこだろうと調べたりする事で興味を持ってもらえる。そうなれば、そこを訪れてみたい。キャラクターと同じものを食べてみたいと主体的に動く人が増えるのは自然の流れです。そして、ここで大切なのは地元の人も一緒に楽しめる空間を作る事。行政がアピールと思って出て来たら、鴨川のように反感だけが残ってしまうだけ。



 ファンの主体的な行動を地域が応援し、一緒になって盛り上がる。大洗はそういう形で知名度が上がり、ネットを通じたコミュニケーションによって輪が広がる。イベントにはファンが見たいであろう声優陣をゲストとして招き、世界観を壊さないように盛り上げる。熱心な人は勿論、アニメを知らない地元の人も理解すれば、町全体が活気付く。そして、マスコミが取り上げて更に知名度が上がる。いいサイクルが完成している。ガルパンブームが去った後どうなるかが課題ですが、知名度アップに大きく貢献したはずです。



 

 また、最初はコンテンツとして注目度が低かったですが、オリジナルアニメが制作されて人気が爆発したラブライブも、ファンに主体性を持たせる意味では成功した作品と言えるでしょう。2010年8月にデビューしましたが、当時はアイドルマスターの方が圧倒的に人気があり、キャラクターを演じる声優も新人が殆ど。CDを発売しても殆ど売れなかった。しかし、ファン投票でのセンターポジション決定やニコ生を通じたプロモーションの成果で、徐々にファンが増えて行きました。



 そして、今年1月から放送されたアニメによってラブライバーが激増したのです。理由は視聴者に感情移入させるストーリーだった事。キャラクターの喜怒哀楽を巧みに表現した内容と完成していくグループの流れを追って行く事で、今までキャラクターに興味を持たなかった人も興味を持つようになる。一方で、アニメ放送前から応援してきたファンにとっては、声優達の成長を感じ更に応援したくなる。マーケティングのやり方を工夫する事で、更なるファン獲得に成功した訳です。



 このように作品が放送されても、その作品を好きになった人が主体的に行動できる余地を残したオリジナルアニメは成功する確率が高くなると私は思います。勿論、一番大切なのは、視聴者に興味を持ってもらいずっと愛してもらえるような作品作りです。それが根底に無ければ、いい作品が出来る事はありません。オリジナルアニメ作りは時間もお金もかかりますが、成功したら大きな財産となるはずです。次回は原作の作品についての成功した理由をキーワードから考えてみたいと思います。