CSって書きましたが、CSとは何かわからない方もいらっしゃるはずです。CSってクライマックスシリーズ?CSってスカパーって思うかもしれませんが違います。CSとは顧客満足度(Customer satisfaction)の略語です。企業はCSを念頭においてビジネスを展開するわけですが、一番大切なのはいかに顧客である人々の立場に立って、ニーズに応える事だと思っています。



 これは当たり前の事だと思うのですが、コミックマーケットの企業ブースでは顧客満足度が高いかといえば私は不満に思っている人の方が多いと思います。理由は夏は炎天下・冬は極寒の中長時間並ばされる事。ちゃんと並んでいると思っていたら、他の列に紛れ込んで状況がめちゃくちゃになる事。レジ対応が遅くてスムーズな会計が出来ない事などいろいろあると思いますが、一番不満に思う事はちゃんと並んでも商品が買え無い事ではないでしょうか。



 コミケの企業ブースは需要と供給のバランスが著しく悪い。圧倒的に需要が多く供給量が少ない事が問題なのです。こういうケースは現代日本ではレアで、ヲタク産業の凄さを物語っています。出展側も参加回数を重ねている訳ですから、対応方法は認識していると思っていましたがトラブルが絶えません。前回のコミケでも商品が買えなかった人達が怒り、責任者に詰め寄る光景が見られたそうです。



 

 原因を考えてみると、1つはタイムリーな情報が無い事です。並んでいる人達が一番気にしているのは、欲しい商品が残っているかどうか。コミケに参加された事がある人はご存知だと思いますが、ネット使用環境が著しく低下します。だから、ツイッターなどの情報が共有し難いのです。あても無く並ぶってもの凄いつらいと思うのです。私も2007年冬のコミックマーケット73で、京アニブースに朝から並んだのですが午後2時まで情報が無く、売り切れを知ったのはブースに近づいて表示を見た時でした。



 その時は自分がバカだったと思いましたが、よくよく考えてみると並んでいる人に対しての配慮に欠けていると感じました。そういう風に思われてしまうと、この企業は対応が駄目だとレッテルが貼られてしまいます。そういう事が無いようにするには、並んでいる人達の生の声を拾って、次のコミケなどに参加する際に改善する事です。そんな中で非常に良い対応をしていたのはアニプレックスブースでした。



 黒いジャンパーを着ている人が非常に多く、多くの社員が列整理を担当していました。また電話が繋がり難いのでトランシーバーを使って、ブースと列の社員同士が情報を共有し並んでいる人達にタイムリーな商品残数などを伝えていました。本当は列整理のプラカードがあるのですが、そこに数字を見せてくれたら一番良いのですけど、情報が無いよりはマシです。こういうきめ細かい対応は、並んでいる人の立場に立っているからこその対応で、今回のコミケでも続けて欲しいと思います。




 もう1つは通販などでの販売の増加です。何故多くの人が並ぶかという理由について考えてみると、やはりコミケでしか買えない希少性が考えられます。そこでしか買えないとなるとやっぱり列が出来るのは当然です。しかも、小さな企業ですと列を整理する人がいないので、グダグダになってしまう可能性が出て来ます。実際にそういう事になってクレームが殺到したという話を聞きました。



 しかし、ネット通販で対応する情報を前もって紹介していれば、並ぶのに時間を労する事が少なくなります。最近ではラブライブの4thイベントのグッズを先行販売しています。さいたまスーパーアリーナには2日間で7万人近いラブライバーが訪れます。物販は朝から始まりますが、長蛇の列が出来るのは誰が考えても明らかです。もし、販売に手間取って公演に間に合わないなんて事になったら、ラブライバーの皆さんは怒り心頭になるはず。



 多くの人が集まる事を見越して、先にグッズを販売するシステムは来場する人を考えた非常に良い事だと思いますし、こういう小さな事が主催企業であるランティスの評価を高めると思うのです。だから、小さな企業はネット通販の情報を予め発表しておけば、列を形成する事なくスムーズな販売が可能になるはずです。それでも現地で購入したいと思う人に対しては、イベントの参加券などをつける等の付加価値賀あれば良いと思います。



 上記の例はあくまでも個人的な主観ですが、小さな配慮というのがCSの達成に近づくと思いますよ。コミケは過酷な時期に行われるわけですから、前回のような熱中症で倒れた人が続出するとかトイレに行けなくてトラブルになったとか。そういう事を少しずつ無くなって行けば、きっと3日間楽しかったと感じる人が増えるはずです。私はそういう観点でも今回のコミケを見たいと思います。