HEAVEN7ー[ユンジェ妄想長編] | 魔法の城の王子様

魔法の城の王子様

嵐. &羽生結弦
櫻葉、JYJ、ユンジェ妄想小説など好きな話題を
気のむくままに☆☆☆



あまねく空に輝く、満天の星。

オレの夢は、こんな光のなかの、たったひとつでしかないんだろうか。


「こっちが南で、あっちが北方。ジェジュンたちのカシオペアはあそこにあるだろ?」


ソンギ先輩が指さす空には、Wの形に線を描く5つの星が輝いていた。


「綺麗だろ?って言っても、オリジナルじゃなくて立派なデジタルだけどね・・」


「あは。でも、本当に本物の星座みたい・・・すっごい綺麗にみえるもの」



先輩の広いベッドルームは、まるで恋人同士のイベントを演出するような超高性能のデジタルプラネタリウムの光であふれ、オレはその美しさに見入ってしまった。


まるで星が降るような、その錯覚に眼がくらんだ。

そんなオレのすぐ横で、ベッドに座っていた先輩が、ある神話のエピソードを聞かせてくれたんだ。



「なあ、ジェジュン。カシオペアって実は悲劇の神話からなる哀しい宿命の星なんだよ。知ってるかい?」


「ううん」



オレはなにも知らなかった。



「そうか。じゃあ教えてあげるね。カシオペアって言うのはエチオピアの王様の妻だった女性の名前なんだよ。

そしてアンドロメダのお母さんだったんだ。

そのカシオペアは、とても自慢したがりの王妃でね、自分の娘のアンドロメダと海の妖精の美しさとを比較したんだ。自分の娘の方が綺麗だろうって自慢したくてね」


「うん・・・それで?」


「それでそのことが海の神・ポセイドンの怒りを買って、カシオペアはその怒りを鎮めるいけにえとして、アンドロメダを鎖で縛り、海岸に置き去りにしたんだ・・・。

酷い母親だろう?その報いでカシオペアは一生休息することなく、天空をめぐり続ける罰を背負わされた」



だから、あの星座は、いつも水平線より下に降りられないんだ。

苦しみ続ける星座。やすらぎを一生奪われた宿命。


それが、カシオペアの伝説だよ。




頬笑みながら逸話を語るソンギ先輩の声は、オレの耳に心地よく、まるで童話のように響いた。

けれど、あの星の恐ろしい由来を、オレはまるで知らなかった。


なぜ、そんな過酷な運命の星の名前を、オレたちは背負っているんだろう?なんだかとても複雑で、不思議な気分だった。

ソンギ先輩から聞かされたカシオペアの意味。


思わぬ話からふと感じた怖さに、オレはちょっと絶句した。

でも、眼の前で優しく笑ってる先輩の顔をみていると、なんだか救われるような安堵感を覚えた。




「先輩、オレ・・・なんにも知らないんです」



自分でも、自分の口から出たその言葉に、オレは少し驚いていた。


いきなりそう後輩に告白された先輩は、もっと腑に落ちなかったかもしれないのに。

オレは、胸の奥底にいつもそっと仕舞い込んでいる想いが、クラリと一瞬動いた気がした。



わずかな沈黙に、無色の気配がただよう。




「知らないって、なにを?」


「今日・・・ううん、これまでもそうだけど、先輩がオレに教えてくれるたくさんの話、全部オレ、知らないことばっかりだ・・・。ねえ、どうしてそんなにいろんなことを知ってるんです?」



星座や神話だけじゃない。音楽も旅も、外国の生活の話や、食べ物の話だってなんだって。


オレが訊けばどんな質問にも、即座に答えてくれるソンギ先輩の博識さが、本当に尊敬に値するくらい、凄いことだと感じていた。

これまでも何度もそう思ったけれど、なかなか言えなくて、こうな風にいま、彼に聞いたりしているオレ。


しばらく考えて、先輩はすぐ真横でオレの顔をじっとみた。



「それはね、ジェジュンが、あまりにもなにも知らなさすぎるからだよ」


「そっかぁ。オレ、あんまり学校とか行ってないし、芸能界しか知らないで今まできたから・・・」



何も知らない子供みたいなオレ。先輩はなんでも、オレに答えてくれるオトナの男。

音楽でも成功して、ソロでもヒット曲をたくさん自作しているし、人気だって安定している。



「先輩は、そう言えば、外国で・・・アメリカで留学もしてたって」


「ああ。俺の母親はアメリカ人なんだよ。今も向こうで生活してる。留学していたのは3年間くらいかな。ダンスと歌と英語の勉強をかねてね・・・。」


「それで英語もペラペラなんだ?」


「あはは。それほどでもないけど、日常会話に不自由はしないかな」




オレにとって、やっぱり先輩は憧れる存在だった。そんなに英語をしゃべれるのが羨ましいってこぼすと。



「じゃあ俺が、たくさん教えてやるよ。英語でもなんでも、ジェジュンに。いいだろ?」


「ええ、もちろん!だって先輩の話、すごく興味そそられるもん」



オレはちょっと、まさしく子供みたいに嬉しい気分を隠せずにはしゃいでみせた。

もっと先輩と話したかったし、このひとに近づきたいと素直にそう思った。




「なあ、ジェジュン。もうそろそろ、その「先輩」って言うのやめてくれないか?俺のこと、ヒョンって呼んでもいい頃だろ?」


突然そう言われて、オレは照れて先輩から視線をはずしてしまった。


「ほんとに?先輩は、それでいいの?」


「いいよ、もちろん。なんならオッパでもいいけど?」


「えっ?だってそれは、女の子が使う言葉だもん・・・オレ用じゃないし」



すると先輩はオレの髪を撫でながら、まるで小さな男の子に話しかけるみたいに優しく笑ってくれたんだ。



「なんで?ジェジュンなら可笑しくないよ。俺と並んで歩いていたら、本物の恋人同士にきっとみえるさ」


「恋人って・・・もう、やだなあ。そういうのはナシでってお願いしたじゃないですかあ」


「まあ、とにかく。ジェジュンはこれからは俺を本当の兄貴だと思って、なんでも話してくれよ」



さあ、ヒョンって言ってごらん。



「ヒョン?・・・ソンギ・・ヒョン」



・・・・・。



なんだかくすぐったくて。オレは自分で声に出して、ソンギヒョンをみながらもう一度、呼んでみた。




・・・・ヒョン。




「いいねえ、気持ちがこもってて・・・・。ジェジュン、冗談でもなんでもないよ、本気の話。おまえは俺の、可愛い弟だよ」


「ありがとう、ヒョン」




目線を合わせて、オレはソンギヒョンと微笑み合った。

長い間忘れていたような懐かしい想いに身体ごと包まれたオレに、ヒョンの笑顔が心地よかった。


自分のためになんでも話を聞いてくれる、頼れる憧れのひと。そんな男が、オレのヒョンになってくれたんだ。

なかなかひとを信用できないオレにとって、ヒョンはいま、最も身近な年長者だった。



「オレ、また、ヒョンと飲みたいです。いろんな音楽の話や、それ以外の話ももっと聞きたい」


「ジェジュンになら、なんでも教えてあげるさ。いつでも、おいで。もう、ここの場所はひとりでも来れるだろう?」


「ええ、来れます。いつでも、ヒョンに逢いに来ます」




そんな会話を交わして、オレはいつしかヒョンのベッドの上で、眠りに落ちていたんだ。


その深い眠りのなかで、ヒョンからいくつものキスを受けていたことを知らずに・・・。








「ジェジュン・・・眼が醒めたかい?」



「う・・・ん」



まだ半覚醒の頭のまま、眠い眼をこすりながらも、オレはヒョンの声に意識を再生した。



「じゃあ、マンションまで送って行こうか。きっとおまえの怖いリーダー君が、怖い顔して待ち構えてるぞ。

おっかない男相手で、おまえも大変だなあ。ジェジュンはまだまだ若いんだから、もっと自由にのびのびと遊ばなきゃ」



ヒョンに起こされ、なぜか裸だった身体にシャツを着せられ腕を取られて、オレはユノの待つマンションまで帰る支度を終えた。




そう、すっかり失念していた。

ヒョンと過ごした時間が、あまりにも新鮮で楽しくて。



ユノについたままだった今夜のオレの嘘。



そしてその嘘の原因になったソンギヒョンとオレは、ヒョンの運転する車に乗り込み、真夜中すぎの街を、江南区・論硯洞(ノンヒョドン)へと向かった。








to be continue・・・・



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『HEAVEN』はこれまでユンジェ妄想短編扱いでしたが、現在長編に途中変更しておりますf^_^;

一気に長くUPする時間が取りにくい身ゆえ、小出し小出しで場面展開するごとに、UPする方がベストかと思います。



次回vol8は、ユノバージョンです。

JJようやくご帰還のようで(苦笑)・・・ユノユノの存在ド忘れするくらいソンギヒョンに心酔してます。

元「DUKE」のボーカル、リー・ソンギの大ファンだったJJ。



李・孫基・・・・イ・ジュンギではありません(爆)

リー・ソンギ。もしくは、イ・ソンギです。



モデルはいっさいいません。私の考え出した、まったくの架空の人物です。まだ登場していない、オリジナルキャラが控えております。これが、重要な人物なので、早くそこまでこぎつけたいけど、こぎつけたときには、

エラいことになってしまう予定です(苦笑)・・・・。





では、『HEAVEN8』も、すぐにUPする予定です。←っていうか、もうワードに打ち込み済みですが、マイペースに進めていきます(笑)