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迷い始めた中国不動産株 政策頼みに限界、業績悪化懸念ぬぐえず

2014/05/27 07:20
【NQN香港=桶本典子】中国株式市場で中国本土系の不動産株の値動きが不安定になってきた。今月に入り中国不動産市況の悪化懸念が強まっているが、これまでならば市況悪化はかえって政府によるテコ入れ期待につながり、関連株の押し上げ要因になった。だが開発企業の業績悪化懸念が強まるなか、政策だけで買いを入れる動きは一巡しつつあるようだ。値動きの荒さは、先行きを読み切れない投資家の困惑の証しにもみえる。
 26日の中国・深圳株式市場で中国不動産最大手の万科企業(@000002/SZ)株は前週末比0.5%安で終えた。前週末23日に3%上昇した勢いを駆って朝方こそ買いが先行したが、一巡後は売り優勢となった。香港株式市場でも不動産大手の中国海外発展(@688/HK)株が買い先行後に下落。同銘柄は23日に5%超上昇していた。
 26日付の香港紙・香港経済日報は、大手を含む不動産企業が「頭金ゼロ」の商法を開始したと伝えた。不動産売買件数が落ち込むなかで値引きの動きが広がっており、毎日経済新聞は26日までに、万科企業が広州市で新築価格を大幅に引き下げたと報じた。「2010年から加速した住宅開発の結果、在庫を多く抱える不動産各社が、市況の本格悪化を前に値下げ競争に入った」(建勤集団アナリストの黄嘉俊氏)との見方は広がっている。
 23日の不動産株高がそうだったように、これまで不動産市況の悪化は政府の支援策期待につながっていた。同日の中国各メディアは、中国政府が国内30都市以上の住宅購入制限の緩和を容認する見通しだと報道。同日はさらに、浙江省杭州市政府が、住宅の取引価格が事前に当局に届け出ていた価格を15%以上下回った場合の取引を禁止する「値下げ禁止令」を発令したもようとも伝わり、不動産株に買いが集まった。
 不動産市況の先行きに対しては「実需は堅調で、ハードランディングの可能性は低い」(海通国際証券ディレクターの潘鐵珊氏)との声はある。ただ、「価格調整は(景気)循環的なもので、悪化の傾向に変わりはない」(26日付の香港紙・信報)との見方はすでに共通認識。政府の支援策が打ち出されたとしても「不動産市況全体の悪化傾向の歯止めにはならない」(建勤集団の黄氏)との観測も広がりつつある。
 政策の効果が限定的であれば、値下げ圧力が強まるなかで不動産各社の業績は厳しさを増す。不動産株の多くは5月初旬に直近安値を付けた後、戻り基調にあるが、どこまで値を戻すかは読みにくくなっている。