これは、発達障害の人と関わる機会の多い定型発達さんが、時々言うセリフです。
何故、発達障害、特にASDの人は親切にして貰っても、お礼を言わないと感じるのでしょうか。
別に感謝をしていない訳でもないですし、ASDの方もして貰ったことがニーズに合っている場合は、お礼を言う場合が殆どです。

〇こだわり
ASDは拘りが多く、これはこういうやり方じゃなきゃ、気持ち悪い、落ち着かないというのがあります。
そこへ、他人が、何、あんな効率の悪いやり方でやってんだ、俺がちゃっちゃと仕事を片付けてやる。
効率よいやり方を教えてあげようと思って、勝手に手を出すと、ありがとうなんて言って貰えません。
内心、怒ってます。
本人だって、効率悪い方法だと解ってやってるんです。でも、そのやり方じゃないと落ち着かないし、毎回、今回は時間がないからこうやろう、今回は、他人も来るからこうしよう、同じ作業でも、状況に応じて、丁寧にやったり、手を抜いたりということを考えることがしんどいのです。
PCのメモリに常駐するアプリが増える感覚です。
〇お返しができない
発達障害の人は、処理速度が遅かったり、並行処理ができなかったり、要領が悪かったり、疲れやすかったりして、長期的に見て、トータルの処理能力が低いです。(部分的に突出してたり、一時的に驚くようなパワーは出るが。)
なので、余り借りを作りたくないのです。満面の笑みで「ありがとう」と言って、また次に助けて貰っても、借りが溜まる一方なんです。
それを気にしない人もいます。パーソナリティ障害も合併している発達さんは、そこの所は違って来ますが、発達障害単体であるなら、借りが溜まっていることは気にしています。もう助けないでくれと。死ぬ訳じゃないんだしと。
〇ニーズとずれている場合、うまくニュアンスを伝えられない
親切でやって貰ったことが、ニーズに合わない場合、気持ちは嬉しいんだけど、これありがた迷惑なんだな、という場合、とっさにうまく気持ちを伝えられない。「これからは、お気遣いのないように」なんて、定番のセリフは社交辞令として受け止められるし、どうしようと悩みます。
ありがとうとだけ言ったら、また同じようなことをしてくる。こちらはありがたくもないのに借りばかりたまると思うのです。