大磯町で修業を始めてからはYouTubeでも、どうしても魚を捌く動画を探しては観るようになりました。
何処何処の名人捌きなんて動画を見ても
「うちの板長の方が鮮やかだな」
と思うばかりでしたが、ある日……
″この魚が解る人はマニアです!″
みたいなサムネの動画を見つけ、吾輩は勿論全く解りませんでした。
次の日の朝に、写真付きのそのサムネを板長に確認して頂くと
「ああ、⚪⚪だね」
と、あっさりこたえたのです。
それが当たり前のことなのか、すごいことなのかは解りませんが吾輩の胸中の隅々まで
「流石です!」
と敬服するしかありませんでした。
若い頃の友人に美容師さんがいて
「誰かが髪の毛について俺よりも知識があることが悔しい」
と言ってましたが、プロとして在るべきメンタルだと思います。
もうひとつ、YouTubeで
「魚が苦手という人に先ず食べさせたい」
という動画で紹介されていた魚を吾輩は食べた ことがなかったので板長に
「そんなに美味いんですかね」
そう質問したことがありました。
返ってきた応えは
「何の味もしないからじゃない?」
というものでした。
これも
「なるほど、そういうことですか」
と至極納得しました。
そういう発想自体がありませんでしたからね。
板長は普段何時間も魚を捌いていながら、休日には子供を連れて水族館に行く人ですからね。
いつも捌いている魚に依ってはなかなか水族館にはいない魚もいますから
「⚪⚪が泳いでいるところを初めて見たよ」
なんていう感想を聞いたこともあります。
魚が好きなんだなということが伝わって来ますよね。
吾輩も柔整師として30年近く働けて、その仕事で生活し子育てが出来たのは常に興味が尽きなかったからだと思っています。
努力とは興味の存続なのかも知れませんね。
はい、左様なり♪