引っ越して欲しいと言われた時(その1) | ジュネーブ半径500Mな毎日

引っ越して欲しいと言われた時(その1)

引っ越して欲しいと言われた時(その1)




私たちはアパートを借りてジュネーブに暮らしています。

毎年ある月になると、契約の更新を行っていた訳ですが、

前回の更新時に



「アパートを売りたいから出て行ってくれないかな~」



と大家さんに言われました。

いつまでもここに住む事はないだろうとは思って住み始めたアパートですが、

まさかこういう理由で出て行く事になろうとは。

まあでも、5年も住んだし、出て行ってもいいか?

今度は、こういうアパートがいいなー、一戸建てもいいなー、と考えながら。



これはちょっとしたニュースなので、

早速近所の人に話ました。



隣人1に、「うち、引っ越すかもしれないのよ。大家さんがアパートを売りたいんだって」


待って、それは待った方がいいわ。そもそもジュネーブは賃借人の権利は守られているはずだから

いくら大家さんが売りたいと言っても、あなた達が出て行きたくないと言えば出て行かなくて良いの。

うちの息子が弁護士だから、良く知っているけれど、

そんな理由で出て行かなくていいのよ。

もし必要なら、正式なフランス語の手紙を息子に書かせるから言って!

そもそも、あなた達がこのアパートから出て行ったら・・・・・・

私も出て行くわ!

同じアパートで、同じエレベーターで、階は違えど、いつでも頼れると思っていたから

本当に心強かったのに、

あなたがいなくなったら、このアパートに住んでも楽しくないもの。

あーーー、どうしよう。







隣人2に、 「あのね、私達引っ越す事になったの。大家さんがアパートを売りたいらしいよ」

なんですって?あなた達が引っ越すの?

えー、とっても良いご近所さんだと思っていたのに。

あなたたちにいなくなって欲しくないわ。

うちの隣が空いているから、うちの隣に引っ越して来なさいよ

「うーん、でもそこ、高いんですよね。うちよりも3万円ぐらい家賃が高いんですよね」

本当?私に任せておいて。




数日後



インターホンが鳴り、ドアを開けると、例の空きアパートの住人を募集している不動産会社の営業の女性と、
コンシエルジュが立っていました。

営業女性が「あなた方が引っ越し先を探していると聞いてやってきました。例の隣人2の隣のアパートが空いていますが、いかがですか?

そうです、お値段は少し高いですが、それは交渉します。きっと大丈夫です。

だから、そのアパートに入居希望と申し込んでくれませんか?」






と。





うちは、犬もたまに吠えてしまうけど、まあ、顔を見れば他愛もない話をして

たまに扉開けたり、エレベーターのボタンを押してあげたりぐらいしか

他人への親切をいえば心当たりがないものの、

そんなご近所の方々が私たちのために尽力くださることは

本当に感謝です。



それと同時に、空き巣被害の多いジュネーブで

信用出来る隣人は財産の一つ

といえる位に大切なのかもしれません。



ジュネーブ、賃貸、賃借人の権利、などについていろいろと考えるきっかけとなりました。

ちなみにジュネーブは空き部屋率0.1パーセントとも言われており、

アパートを探すのは本当に大変です。

子供が私立に通うご家庭は、ある程度学校から離れても学校の環境は変わりませんが、

公立学校に通う場合は学区内で引っ越しをしようとすると、ますます大変な気がします。





さて、これは今後数ヶ月に渡って続く騒動の
ほんの幕開けでしたとさ

続く