色々とあって。

 もはやアメンバーに戻すのももの凄い手間だということになり。

 それと。

 どうも文章を書きたいような気分が強くなり。

 また再開しようと思います。

 ゆっくりと、踏みしめるように。

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 モノの話。

 これと言って、「買わなければならん」という衝動に駆られるモノはそうないこのごろ。

 物欲が無くなったわけではなく、単純にベクトルが変わっているだけに過ぎず。

 それはそれとして、「一般的な革モノは作れるから、買う必要ないかも」などと呟いた記憶もあるので。

 「一般的な革モノ」を作ってみました。

 ドキュメントケースを自作したわけですが、縫いもそこそこに、悪くない仕上がり。

 でも一発目のサンプルなので、本格的に使うのは次に作るケース。

 しっかし手縫いは時間かかる。

 というか、結構なサイズのケースなのに、目を細かく設定しすぎたのが悪いのか。でも、その方が綺麗だから迷いどころ。

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 音の話。

 ライブをやるかどうか、やりたいけど難しかったり、それでもなんとかしたかったり。

 唄いたい歌がある。

 伝えたい歌がある。

 たとえそれがまた。

 そういうものだとしても。

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 雑文。

 「駱駝」

 カラカラに乾いた風が吹き抜け、どことなく空は白く濁り、いつの間にか多くの音が霞んでいる。

 そんな中に煌煌と光る月は丸く、一歩ずつ歩き進む僕を嘲笑うように、ただゆっくりと変わる事無く追いかけてくる。

 ここは砂漠なんかじゃない。

 砂など何処にも見当たらず、水はそこかしこに溢れ、すぐ隣には見知らぬ人がいる。

 けれど「乾いていない」などと誰が言えようか?

 駱駝のシルエットを思い浮かべる。長細いフォルムと二つの大きなこぶ、勇敢かつ精彩な足とそこから生み出される唯一無二の足跡。

 僕は駱駝にまたがることが出来なかった。

 それは想像の産物だからではなく、駱駝に対する勇気や意志、あるいは大切な何かが欠けていたからに違いない。

 追いかけてくる月を見ると、考えざるを得ない。

 そういう不思議な感覚が、駱駝にはある。

 ここは砂漠なんかじゃない。

 だから本当は駱駝にまたがる必要もなければ、必要とする意味もない。

 けれど「乾いていない」などと誰が言えようか?

 否。

 本当は、乾いてなどいない。

 ここは砂漠なんかじゃない。

 駱駝。

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 雑文2

 「タイムラグ」

 スリー、ツー、ワン。

 ゼロ、と胸を打つ瞬間に君はいる。

 つまり、最大限にフラットな姿勢で、最低限に時を刻むようにして。

 声を発すると同時に、更なる声を求めるものだとするならば。

 言葉が出なくなり、若しくは声を発する事を止めたくなるのも確かだ。

 もしも。

 始まりと終わりが総てタイムラグで出来ているとしたら。

 むしろ、タイムラグから始まりと終わりが生まれるのだとしたら。

 スリー、ツー、ワン。

 ゼロ、と胸を打つ瞬間に。

 何かが終わるかもしれない。

 何かが始まるかもしれない。

 だからこそ。

 スリー、ツー、ワンと。

 数を数える。

 ゼロ。

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 雑文3

 「オーバー」

 何も分かっていないことが分かる時、また彼が現れるのは、勿論分かっていた。君であり、影であり、彼であり、僕。

 「ひどく、みすぼらしくなっているね、君は。何があった、たった数ヶ月顔を合わせてないだけだぜ。少なくとも、君を取り囲む環境は幸せに満ちているし、誰がどう言ったところでそれが突然消えるものでもないし、ごく控えめだとしてもほとんどの存在がそれを認めるはずだ。……なのにどうして、そんなに」

 彼が言うのはもっともだと思う。きっと僕がいる環境は少なくとも幸せであるし、不安や焦燥が全くないとは言えないまでも恐れるものはそんなにないはずだ。

 「そうだね、確かにひどいかもしれない。でもそれは、本当にダメなことなのかが分からない。申し訳ないけれど、僕は誰かに何かを言われて大切な意味を失いたくないし、そのためだったらある程度のことはしようと思う。それの何が間違っている?」

 子供だ、と僕は思う。間違っているのは全部分かっているのに、認めようとしない。いや、認めていたとしても、それをどうにかする術を持っていない。

 「ある観点からすると、君は正しいよ、たぶんね。でも、君が大切に思っている観点からすると、絶対に間違っている。どうして君はそんなに極端なんだ? それは嫌いじゃないけれど、時に身を滅ぼすことも知っているだろうに? 君は総てを望みすぎる」

 総て、と僕は呟く。そんなことはあり得ないと知っている。総てを望んでいるつもりもない。けれども、彼がそういうからにはきっと、そんな風に映るのだろう。あるにせよ、ないにせよ。

 僕は歪んでいるのかもしれない。どうでもいいことをピックアップし、本当に大切な多くを見る事が出来ていない。それはずっとずっと感じていることだ。なるべく耳を澄まし、目を凝らそうと思っていても、最終的にはベクトルの異なることを選んでしまう。

 「僕は弱い。だから頼ってしまう、甘えてしまう。そういうのがきっと、いずれ誰かの何かを蝕んで、同時に僕の何かを蝕んで、そういうことだと思う。間違っている、そうだよ、間違っている。だからいつも、何も言えない」

 彼は、目を見開く。

 「何も言えない、か。君はそれがカッコいいとでも思ってるのか? 何も言わなければ、何も変わらない。それは君が、ということだ。君が黙示することで、君自身が変わる事を無くしてしまっているんだよ。誰だって間違いはある。でもその間違いから逃げちゃいけない。逃げたって何も解決しない。大切な何かってのは、そんなに簡単なもんなのかい? 君にとってそれは、真に大切なんじゃなかったのかい?」

 そうだ。簡単なもんじゃない。これほどに、大切に思ったこともない。

 「君が変われ。君はいつも、自分を悲劇のヒロインに置き過ぎだ。それで辛いのは君じゃない、周りだ。君は楽だよ、悲しんでいればいい、落ち込んでいればいい、気楽なもんだね。でもな、周りはそうじゃない。君を大切にしてくれるからこそ、君がそんなんじゃ辛くなる、そして苦しくなる。君が招いている事だ。ならば、君が整理しなきゃいけない。分かるだろう?」

 分かる。こうしている場合じゃない。

 「……そう。……そうだ。……ごめん。よく分かった。勝手に悲しんでいても、勝手に落ち込んでいても、何も変わらない。頭を冷やす。そして自分をもっと安定させる。頼るのも、甘えるのも、止める。そうでないと、僕が変わらない。何も変わらないことほど、嫌なことはない。たとえそれが僕にとって、未知なことでも、らしくないことでも、構わない。とりあえず変わってみたい。何かあれば、変わった先でまた、それは考えればいい」

 喉が渇いてきた。思えば、水分を昼から全く取っていない。まずはそこからだ。

 「しばらく、君の側にいる。なぜなら、君は愚かだからだ。すぐに君は君を見失う。少しだけ、また付き合ってやる。特別待遇だぜ。幾度となく、俺はもう、消えてるんだ。知ってるだろう? 本当はそろそろ、こうしてもいられないんだ。君は、君として生きなければいけない」

 「だから、強くなれ。タフになるんだ。周りからも、そして何より自分から。分かったら、まずは水を飲め。そして待つんだ。時が動くのを、そして君の何かが動くのを。大丈夫、心配することはない。君が選んできている道は、すごく正しい。ただ、君がその道にまだ足りていないだけだ。そこに追いつけばいい」

 「信じていい。いや、信じなければ意味がないんだ。君はね。それだって、分かっているんだろう?」

 分かっている。でなければ、こんな風に彼と話などしない。

 「ありがとう」

 「礼は、何かが変わってから言え」

 「でも、ありがとう」

 「それはつまり?」

 「その言葉を大事にしたいんだ、これまでのように、悲しい言葉じゃなくてね」

 「そうか。分かった。悪くない、そうすればいい」

 「うん。とりあえず、準備をするよ」

 「何のだ?」

 「総ての」

 「オーケー、そうだ。それでいい」

 「悪くない、だろ」

 「あぁ、悪くない」

 オーバーだとしても。

 チェックメイトではない。

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 こんな風にまた書く。

 やっぱり良いものだ。

 年の瀬。

 笑えていれば良い。     arlequin