脅迫電話反撃 (前編)
(3月29・30日)



引き続き謎の変質者に殺すと脅迫されてる(泣)

分かっているのは犯人の声によると奴は10代くらいって予想だけ名前も住所も何も分からない、それに対し俺のデータは住所・電話番号(家、携帯)等知られてしまっている

ただし住所に関しては相手は致命的な間違いを犯していた

以前には書いたことないが、俺は数ヶ月前丸ノ内のマンションから西新宿の会社寮へ引っ越したのだ

つまり犯人は、丸ノ内で×××って名前のマンション
という情報しか知らないと思われた

なぜなら犯人は昨夜の電話で

「今お前の家の近くの公衆電話からかけてんだよ、今から殺しに行くから」

「え マヂですか」
(今住んでる近くには公衆電話ないけど・・・)

「マヂですかじゃねぇーよ、お前の家は
●●公園近くの「×××」って所だろうが!!」



ナ ナイス勘違い!!


たしかに丸ノ内の「×××」ってマンションで住んだことはあるが
今やそこに誰が住んでいるのか全然しれんのよ

でもまぁ今住んでいる方には申し訳ないが、ひとまず



そういうことにしておきましょ(悪)



「俺は×××のすぐ近くにいるから出てこいよ コラ」


てことはねこの頭の弱い変質者、俺の家から
数キロ離れた所から俺
に向けて鉄パイプ振り回してる訳だ


まさに馬鹿のお手本だ



まさに悲しいほどの馬鹿の体現者
昨夜の電話で、怖かったけどちょっとだけ余裕があったのはこれが原因だ



「いまからそっち行って暴れっから出てこい」




ごめんなさい 丸ノ×××マンション●●号室の誰かさん
襲撃されたらそれ俺のせいっす




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でも、今回の家間違いで2つの事が分かったんだ


彼は俺の現在の住所までは全く知らないそう
どうやら丸ノ内で暮らした時関係あった奴のようだ


家の場所を間違っている変質者に対して俺の言ったのは

「×××がお前の家だろう、知ってンだよこっちはよ」

なっ!!・・・・」

という短いセリフだったが驚愕と恐怖と諦めの入り交じった最高の演技だった、相手完全に騙された


人間追い込まれると、ものすごい力を発揮するようだ
*こんな事、体験せずにすむならその方が良いとか言うな


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まぁこの後は、昨日の事件簿を見てもらうと分かるはずだけど
例え家だけ違うとは言えバレるのはまっすぐかも知れないし

突然の脅迫者の出現によりかなり精神的に追い込まれたのは言うまでもない

眠れないまま朝から仕事

不安感から仕事に集中できず初歩的なミスを連発してしまう
職場の仲間に冗談交じりに話さないと、とてもではないが不安に耐えられない

いつもよりテンションが明らかに高い、強がっているのは見え見えである


しかし、いつもより良く舌が回り話も面白い



つくづく社内でお笑い芸人みたいな自分が憎い・・・


仕事を5時半に終えてすぐに自己防衛の為の手段を開始

第一に幸いな事に自分の叔父さんが現役の警察官なので相談に行く

生まれて始めて警察官に事件を相談したんだ

まだ一回も110番を利用したことがない俺は、いきなり警察署にかけこむのは抵抗があったので、まず叔父さんの話を聞いて対策を練ることにする

様々なアドバイス等を受けましたさすが警察その手のプロなんだ、翌日、叔父さんに口を聞いてもらって本格的に地元の警察署へ行く事を進められる

叔父さん個人としても問題の無いレベルで協力してくれる事を約束してもらえた



ビバ 国家権力


かなり安心してきた



警察に任せきりにできるほど、楽観主義者ではないこの俺

普段は無駄に妄想に使っている脳味噌


毎週総30時間以上を欠かさず飲み会しにいく驚異的な行動力

これらをすべて自己防衛のためにそそぎ込む事を決心

俺を敵に回したことを後悔させてやるぜ 犯人め(虚勢)




そんなわけで今の段階では、脅されているという証拠すらない
次の電話で相手の声を録音して証拠としてやる事にする


そのまま地元の電気屋さんへ

?周年記念で店内は
紅白の飾り付けがされていて福引き大会が催されて大盛況だった


「いらっしゃいませ 何をお探しでしょうか?」


殺すって脅迫されたんで、なんとかする道具をください」


おめでたい雰囲気の中、浮かれ気味だった店員さんを一瞬で闇の世界に引き込む俺


素で引いてた店員さんの顔が今でも忘れられない


「た 大変ですね・・・」


「はぁい・・・」


紅白で彩られる店内
まさに、ここは直径1メートルのアウターゾーン


その後親身になって相談に乗っていただいて脅迫電話の内容を録音するための装置を買う

合計8400円

なんで俺がキチガイの為に金を使わないといかんのだ(泣)
俺貧乏なのに・・・ シクシク



家に帰ってきて、早速携帯と電話に取り付けて試運転

「あーあーあーあー」と録音

「あーあーあーあー」多少音は小さいが問題ないレベルだ

これで次の電話がきたらおびえきった子羊のような最高の演技で

あの変質者から「暴れる」「殺す」「埋める」とか
沢山のNGワードを引き出してやる


相変わらず、強がっているのがバレバレなんだがちょっとだけ安心していく自分がいる



つぎは自己防衛のために、犯人の身元割り出しを急ぐ
普段はできるかぎり自分の事は自分でする事を信条とする俺だが、今回ばかりはみんなの力を貸してもらう

とりあえずいろんな友達に電話をかけて事情を説明して犯人の身元割り出しを協力してもらう、前住んでた場所と関係あるのならそんなに遠い所に住んでる訳ではなさそうなので、昔のマンションの警備さんや他の心当たりのありそうな人達にひたすら電話


頼む誰かのこのネットワークに引っかかっていてくれっ


突然電話が鳴った 正直胸が躍った
昨日電話をしてもらった元警察のおっちゃんだった

おっちゃんには俺が「パンツのない女・男のパンツ盗まない女」ってことをすぐに分かってもらえた


「のぐちん貧乏すぎてパンツ買う余裕なんかないじゃん あの野郎馬鹿だなぁ てかのぐちんが男のパンツ盗む変態女ってあり得ねぇ」

最初の言葉はすこしきもかったけど・・・とにかく

おっちゃん 俺あんまり嬉しくて涙が出そうなのよ
昨日の眠くて電話を後回しにされたのは許しちゃいます

ただ中学校時代の部活の合宿で、おっちゃんらのお風呂を女連中を率いて覗きに行ってた事実が思い出される

おっちゃんの俺に対する信頼ぶりが
ちょっとだけ胸が痛い

おっちゃんから得た情報によると、俺が前住んでたマンションでパンツが盗まれたのは俺一人じゃなかったってことだ

とりあえずもう一度調べてくれるというので一旦電話を切る

とにかく自分でやれることはやった、明日は叔父さんではなく正式に警察署の窓口に行く事にする

電話が鳴る

おっちゃんである

「のぐちん 分かったぞ、相手の名前と住所



こ この戦もらった!!



きっと桶狭間で今川義元の場所の知らせを聞いた織田信長もこんな気分だったと思う

問題は解決したわけではないが、もうこれで向こうが本当に殺しに来る気でもこれだけ押さえてしまえば何とかなる

*わざわざ元職場の担当警官さんを突き止めて、いきなり電話をかけて
パンツ泥坊の前科犯リスト見てもらって犯人を突き止めてくれたおっちゃん感謝です


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ちなみにこの変質者 名前は ●●君
年齢は21歳だった、10代くらいだと思ってたのでビックリ


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もちろん今回の事件で、成人の大人としての行動を強く意識している俺は相手のように暴力に訴えるなんて事はしねぇよ


相手の素性を突き止めた時点で知り合いを総動員して
相手の家に同じように追い込みかけて黙らせる

これでは相手の脅迫者とまったく同じになってしまう
大人としてとるべき最低の手段なのだ


だから脅迫された怖さと悔しさのあまり

相手の家に押し入って、犯人を引っ捕らえそのまま港の倉庫に拉致監禁、ホモビデオに出演させ外国へ死なない程度に内蔵を切り売り、その後ドイツの変態肉屋に売却、こんなどうしようもないクズ野郎は俺が地球の為にリサイクルしてやるのが奴にとっても一番の幸せなのだ。俺を不安にさせたことを一生後悔しつつ苦界にて果てるが良い ニャハハハハハハ


とか思っていても思っていても実行しないのが大人だ レディーだ



しかもです驚くことに
この変質者同じxxxマンションの人だった

しかも隣の号室
当時俺は隣の人たちと仲良くなりたくて自分の名刺を渡したことがあった

俺の電話番号知ってたのはこういう訳だったのか

ていうか隣なのに俺が引っ越したことも知らなかったっけコイツは


とにかく思いっきり俺の元勢力圏内なんだ

そこって俺の知り合いいっぱいだ
そんなに追い込みかけて欲しいんだろかコイツ

しかも聞いたところによると

モヤシッ子らしいわ


これで良く人を殺すなんて言えたものだ
ある意味その勇気だけは買ってやる



これで彼が俺に対して

唯一のしかも絶対の武器であった
 って部分がはかなく消え去った



翼のもげた鳥 いや違うな




変身の出来ない仮面ライダー これも違うな




ガンダムを取り上げられたアムロ うーん違うな




駄目

これはもう例える表現が見あたらない


だって
可哀想すぎて





素性がばれちゃったらもはや彼に残されたのは

小学校中退レベルの頭意味ない場所で鉄パイプを振り回す無駄な体力しか残されていないんですよ

しかも噂じゃモヤシッ子だし・・・(他人の話だから俺は直接分からんけどね)




でもね俺は手を抜けないよ

だってホントに怖かったんだもん、一日半飯も喉を通らない眠れないしお金使わされたし・・・



今すぐにでも追い込みをかけて解決したい衝動にかられちゃうんだけど、それは最低の手段だし暴力で解決してしまっては相手も自分のやった事が常識をどれだけ逸脱した行為か分かってもらえない



だから

明日は朝イチで正式に警察署に行くつもりだし
電話も相手の声はいつでも録音可能の待機状態にしてある

彼に自分の変態マネや発言等に責任を取ってもらう準備は万全だ


かなり精神的にも落ち着いてきた
もう大丈夫
むやみにおびえる必要はない

今夜はゆっくり寝れそうだっ



その時携帯電話が鳴る

これは奴に間違いない


俺はゆっくりと録音装置のスイッチを入れて、落ち着いた様子で電話に出た



「おい 昨日の俺だけど分かってるよな コラ」


「あぁ分かっていますよ ●●君」

「えっ・・・」



形勢逆転♪




(この後、キチガイパンツ泥坊は地獄へ向う)