祖母の調子が昨年末から悪くなり、いよいよそのときが来たんだな、と。
認知症を発症して、介護し始めてから10年以上。
祖母は今とても良い施設にいて、本当に恵まれていると思います。
施設の方のケアがすばらしいことはもちろん、これは祖母が徳のある人だったからだと・・・そう思っています。
介護を始めた頃、大学受験の年で私は引き取ることを反対しました。
八つ当たりすることはわかっていたので・・・でも引き取らなきゃいけないかたちになり、大学生のころは遅すぎる反抗期を迎えて母は特に大変だったと思います。
母は言わないけど、随分肩身の狭い思いをしていただろうし、このころはうちの家族がバラバラなかんじがしていて、本当に好きになれませんでした。
認知もかなり進むと排泄とか色々・・・さらに大変になって・・・そんなとき、本当にラッキーなことに、新設の介護施設への入居が決まりました。
母はやっぱり預けることに相当抵抗があり・・・なんかおばあちゃんがかわいそうかなって思いがあったみたい。
でもいろんな人に相談して預けることになりました。
正直私はそのとき、ホッとしたし、そのあとも気が向けば施設に顔を出す程度。母は月1の報告会とかにもちゃんと顔を出して、施設の人がよくしてくれているから安心していました。
介護の実態を知っているから、私は介護業界で仕事をしたいとは思ったことがないし、そういう仕事の人ってどんな思いで働いているのかな・・・奉仕の心が強いのかな、本当私にはできないってずっと不思議だったけど。
いつだったか、坂上忍さんの番組で、介護職の方が「自分の仕事は人間の尊厳を守る仕事」(←確かそんなニュアンスのこと)と言っていて、最期を迎えるときまでその人の人間の尊厳を守ってあげる仕事なんだと・・・そーゆー風に介護職をとらえたことなかったから、とても驚きました。
つい数日前に、おばあちゃんの体をふいたり、髪を洗ったりするのを手伝わせてもらったときに。
オムツを替えるところは施設の方へお任せして、ちょっと離れたところで見てたんですけど。
「はい、ごめんなさいねー。ちょっと手を上にあげさせてねー。」
と言ってて、おばあちゃんの手がおへその下の方にズレてたんです。
私はもう会話もできないほど認知が進んでるから、なんとなく手がズレてきちゃったのかなー?と思ったけど
「恥ずかしいわよね、でもあとちょっとだからねー。ごめんね、すぐ終わるからねー。」
って言ってて・・・。
無意識に恥ずかしいって気持ちが手を下にして隠そうとするんですよーって教えてもらいました。
そのとき、人間の尊厳を守る仕事ってことを初めて理解して。
本当に良い施設に恵まれたし、もうすぐおばあちゃんが死んじゃうけど、なんか悲しいんだけど、きっと幸せに旅立てるなって思いも生まれました。
これまでも何回か、もしかしたら危ないかも!?と思うことはあったけど
「ちゃんと残される側の気持ちの整理ができたら、おばあちゃんが旅立てるときだよ」
と会社の人に言われて、本当にその通りでした。
元気になって見送ることがない場所で、あんなに明るくお仕事をしている方々を尊敬するし、本当にありがたいです。
今日は母の誕生日。
母のために、きっとおばあちゃんは最期の気力で生きていると思います。
寝たきりになって2ヶ月ほど。
2時間おきに体の向きをかえてもらっていたので、おばあちゃんの体には床ずれが1つもなくて、本当にすごいことだとみんなに言われます。
本当に本当に介護施設のみなさんに感謝しています。