Go To 箱根 スカスカススキ
この春からの、COVID19対策、
日本政府のやることにゃ(やらないことにも)、どれもこれも呆れるばかり。
“GO TO キャンペーン” って、
どう見たってアンフェアだし、偏ってるし、不徹底だし、
コロナを余計蔓延させてしまうのでは?
どうせまたどこかで中間搾取するための税金ドロボーでは?
などと疑心暗鬼になるが、
まぁ、観光地の人たちは期待しているようだし、
利用できる人、行ける人は行けばいい。
一部だけでも活気づいて明るくなるのはいいことかもしれない。
その分楽しみながら経済回すという貢献ができるわけだもんね。
とにかく、私は様子見と決め込んでいた。
そんな折、姉から箱根へ行かないかと誘われ、
しからばそのGOTO キャンペーンを利用してみようではないか、と繰り出してみた。
時は10月後半、そろそろ箱根は仙石原の薄が美しい季節のはず!
ずっと見たかったんだ。
小田原で少し時間があったので、軽く寄り道することにした。
小田原から「大雄山線」なる鉄道がでていて、(今まで知らんかった!)
小田原駅からほんの数分のところに「五百羅漢駅」なるものがあって、
そこから徒歩数分のところに「天宝寺」なるお寺に五百羅漢さまが鎮座しているらしいので、
行ってみることにした。
思いの外利用客がいる大雄山線で5~6分。
五百羅漢駅から人気のない静かな通りを数分。
手入れの行き届いた静かなお寺、天宝寺。
――後日ググったら、このお寺はそもそも天文3(1534)年建立された歴史を持つお寺だった!
宝暦7(1860~1861)にやっと500の羅漢が完成されたそう。
安政の大地震で損失するなど困難を乗り越え、
今に至る……とな。
500揃えん!という人々の思いのこもった500羅漢なのね。
だがしかし!
ここの五百羅漢さんたちはお堂の中に収められていて、
お堂にはコロナの影響で入れない!
檀家さんなら入れると書いてあるが、
通り一遍の人間は駄目なのだった。(万が一のとき、追跡できないからかな?)
御朱印も頂けなかった。(紙に書かれたものを受け取るということだけでもダメだった。)
お寺の方に、「遠~くから来たんですけど~」と甘えた声で訴えてみたが、
優し気な女性は、「申し訳ないけど、コロナなので……」と気の毒がってくださるのみ。
優しい顔して頑固な女だなぁ……と私の中の悪魔が毒づく。
ちぇ、我々より他に参拝客もないのだから、5分くらいお堂に入れてくれてもいいじゃんか~。わたしゃPCR陰性だぞぉ?(多分いまだに)と、心の中でひとしきりぶーたれる。
そうなのだ。家に籠っていれば、コロナ怖しっ!と
ゴミを捨てに行くときさえ、手袋、マスクしてビビりまくるが、
ひとたびGOTOする側に回ると、
ちょっとくらいいいじゃん? 大丈夫じゃん? という気になる。
あな、恐ろし。
例外をひとり許すと歯止めが利かなくなるだろうし、
断わるお寺側も心苦しかったに違いない。
ちょっと駄々こねて失礼いたしました……。チーン
結局、お堂を外から少し覗くだけなら、と言われ、
重い扉を少し開けて、そっと覗くも、
五百羅漢さまたちは結構小ぶりでお堂の奥にぎっしり並んでおり、
はっきり見えないので、すぐに諦めた。チーン
せっかく電車を乗り継いでまで訪ねてきたのに、とても時間を損してしまった気分。
がっかりして小田原駅に戻る。
大雄山線小田原駅には、大きな天狗のモニュメントと看板があり、
気になって写真にだけ撮ってきたのだけど……
↓
後日、よく読めば、大雄山線は、終着駅にある「大雄山最乗寺」へ参拝するため、
有志の協力によって開通された鉄道で、
大雄山最乗寺は杉の巨木に囲まれたお寺らしい。
五百羅漢は好きだけど、天狗も好き!
ううう! こちらに参拝に行くべきだったかっ!
しかし、こちらは小田原から大雄山線で20分ほど、
さらにバスで10分、さらに徒歩で10分だそう。
“ちょっと寄る”には時間が厳しい。
次回、改めて……だ。
ちょっとした寄り道をのんびりするつもりだったのに当てがはずれ、
とっとと小田原に帰ってきたが、中途半端に時間が余った。
ので、いつものことだが、小田原城散策。
セキレイが姿を見せてくれたり、
小田原らしいマンホールに喜んだり。
秋の小田原城は初めてだ。紅葉にはちょっと早かった。
桜並木が紅葉したら、それはそれで美しそうだね。
小田原駅の階段に、小田原城の絵が!
いろいろ観光アピール頑張ってますね。
しかし、ショックなことに、なんと老舗蒲鉾屋さん、「丸う田代總本店」さんが、閉店していた! 2020年10月11日(日)に閉店されたそう。
丸うだって美味しい蒲鉾屋さんだった。
コロナは由緒正しきお店をも潰していくんか……。
かなりショックを受けつつも、
お腹もすいたので、駅中の軽食屋さんで軽くビール。
お昼時も随分過ぎていたのに店は激混み。
カウンター席は下敷き(メニュー大?)のような小ぶりの衝立が立てられているだけ。
席を空けるわけでもなく、並んで座る。
これで「コロナ対策」とされているのだから、甘い!と言わざるを得まい。
などと思いながらも、ビールとウィンナーの誘惑に勝てず、
席に着く私であった。
で、日暮れ前、宿へ着いたら荷物を置いて、早速“仙石原の薄”を見にいく。
宿から歩いて40分くらい?
箱根湿生花園の裏を回り込むように歩いていくと、
おお! 薄がいい感じ!
(↑ この薄は箱根湿生花園のテリトリーの薄)
……と思ったが、
「仙石高原」なる一面の薄で有名な小道の入り口に近づくほどに、
もう刈り取られちゃったの?枯れちゃったの? ってくらい、なんかスカスカな感じの薄群。
大通りから、“細い”遊歩道に入るのだが、
その道の入り口こそさほど目立たないものの、ちょっと中に入ると
かなり広々とした空地のようになっていた。続く道もなかなか広い。
私のイメージと全然違った!
よく見ると薄は刈り取られているわけでも枯れているわけでもなかったが。
遠くの方まで道が続いているのが見えちゃう。
他の人々の姿が見え見え。
10年ほど前、姉が訪れたときは、
遊歩道はこんなに幅広くなかったという。
遊歩道は“薄のトンネル”といった体で、
道の先の方など、薄に覆われて見えなかったという。
もう1m先がわからなかったという。
それ、それ! それこそ私のイメージしていた仙石(仙石高原?)の薄の原!
そして秋の硬い陽ざしを受けて、刃のようにキラリと閃く光りの粒をまき散らしているイメージ……。
時折吹く強い秋風に、江戸時代の決闘もかくや……と思わせるようなざわめきを響かせるイメージ。風が歌っているのか、薄が泣いているのか? ってな感じの。
そう。すべて私の勝手なイメージ。(でも、10年前はそんなだったらしい。)
入り口のすぐ脇あたりに多少薄の深いところがあって、
そこの薄はゆうに2mはあった。
そうそう。このくらいの薄が昔は道の両側からかぶさるように道を覆っていて
薄のトンネルだったのよwwと姉はのたまう。
このくらい背の高い薄にどっさり一面覆われたら、圧巻だったろうなぁ。
しかし、現実はスカスカの丸見えですじゃ。
案内リーフレットにも
「ススキに埋もれて歩く遊歩道」と書かれていたのだがっ。
もうね、埋もれてない。スッカスカよ。
なんだろう、この閑散としたススキ具合……。
今年が特に薄の成長が悪いのだろうか?
いや、毎年観光客に踏み荒らされて
獣道ならぬ“人間道”が広がり、薄も勢いを失ってきているのだろうか。
すっかり肩透かしをくらった気分となったが、
温泉とお宿の夕食で気分を盛り直す。
ソーシャルディスタンスを十分にとったレストランでの食事は、
お洒落な懐石。
秋のお月見をした気分にさせられるお料理の数々。
添えられた薄の穂に、仙石原のスカスカのショックが一瞬思い出されたが、
美しいお料理の前に憂さも吹っ飛んだ。
「本日のお魚」にマナガツオがあって。
恥ずかしながら、マナガツオ初体験!
最初、なんだろ? 鮫か? などといぶかしく思いつつ食べていると、
じわじわじわ~っと旨味が来て、
うまーーーーーーーーーーーーーい! なんじゃ、こりゃ?
マナガツオだ。これがマナガツオかっ!
鰹じゃないけど、マナガツオというらしい。
とにかく素晴らしい! あぁ、もっと早く出会いたかった!
それぞれのお皿も粋だ。
余談だが、この日、神奈川県在住の姉は、神奈川県人が利用できる“地域なんちゃらかんちゃら?”のクーポンをスマホにもダウンロードし、紙にもプリントアウトしてきていた。
“食事の際、ドリンク一杯サービス”が受けられるというものだった。
宿の受付でそれを出すと、宿の人はそういうものを初めて見た! と驚き、
調べてみると言われる。
で、夕食時になってもなんとも言われなかったので、
再び姉が問い合わせると、
またも「調べてきます」と待たされ、
挙句、そのクーポンは宿泊者には使えず、“食事だけの人のみ利用可能”だとか。
箱根の山中に、誰が食事だけしにやってくるんじゃーい?
泊まる人間が使えなければ、なんのクーポンじゃーい?
と、これまたがっかりさせられたことであった。
すごく小さなことで、ダメなら、なーんだ、で本当は済むことなのだが、
いちいち気分が悪い。
最初からないならないですっきりするものを、
ダウンロードさせたりプリントアウトさせたり、受付に申しださせたりして
挙句使えない・・・・労力と気力の浪費をさせられた気分である。
(ま、私は何もしていないのではあるが。傍で聞いていても気分がちょっと悪い。)
利用してさらに実感。
本っ当に、不徹底で曖昧で、精神衛生上よろしくないGOTOトラベルであるよ。
宿の中庭には水辺が沢山設えられていて、鴨も姿を見せてくれたが、
宿の名前にもなっているカワセミには会えず。
宿の人に聞いてみたら、カワセミは出ないと言われてしまった……。なんでだっ!(昔はいたのだろうか?)
何枚も撮ったのに、結局ピンボケでアングルも悪いものばかり。鴨ばかり。
とにもかくにも、GOTOトラベルキャンペーンの一環で、
35%(?)お得に泊まれ、商品券(?)も3000円分付いた。
――でも、この商品券もちょっと曲者で、
利用できる期限は1泊2日の旅行中の2日間だけ。
店も限られているようなのだが、使えるか使えないかは
実際に店に行って聞いてみないとわからない。
小田原駅で使えなかったら無駄になる。
使い勝手が悪いのである。
まぁ、ホテルの売店やシャトルバス代で一瞬にして消えたのだが。
私はあたふたしても
草花は粛々と生きているのであった。